ランジュ – 2014年3月8日 3/n

「あのね、お兄ちゃん、率直に言っていい?」
「なんだ?」
「お兄ちゃんてさ、いつも極端なのよ。もっと現実的な革命案にしないとゆくゆく自分でもこんなはずじゃなかったって思うようになるよ」
「じゃあどうしろと?」

「レナスルシアは全員に付けたら電波ジャックで簡単に国家機密が筒抜けよ。要は被害者を守ればいいのだから、希望者にだけ取り付ければいいじゃないの。いじめられっ子とか囚人とかさ」
「あ、そうか……」
きょとんとしてセレンは頷いた。
「それに、首輪とヘアバンドってやっぱり人に受け入れられないと思うよ。もう少しお兄ちゃんは自分の意見を人に理解されやすいやり方にした方がいいと思う」
「ん……」
「首じゃなくて頭に巻けばヘアバンドもいらないよね?」
「鉢巻か!」
「だからセンス!!」
「……すまん」
「サークレットよ、サークレット型にすればおしゃれでしょ。女用は可愛いので、男用はスタイリッシュなやつ」
「おぉ、ファンタジーぽくていいな、それ。オンゲの世界みたいだ。カメラは前後左右で4つか?」
「ユイムのストリートビューみたいに1つをサークレットの中で循環させればいいと思うよ」
「なるほど、holをmesにするということか。サークレット内にアトエをかけてカメラを管内で回転させるようにすればカメラは1つで済むな、うん」

「それとな、革命では完全なる男女平等を目指そうと思う。というか男女というセックスの概念をなくしてジェンダーのみを出そうと思う。例えば男より力の強い女もいるけれど、そういうのは戦争に行けばいいし、女より家事に向いてる男は主夫をすればいいんだ。就職も受付は女を雇って男は力仕事とかそういうのは違法にする。男で受付してもいいし、女は力仕事をしてもいい」
「出産はどうするの?子育ては?」
「子育ては夫婦で協力すればいい。向いてるほうが主に育てればいい。出産なんだが、ポッド内で成長させて誕生させればいいさ。技術的には可能だろ」

「女は子を産まなくなるってこと?」
「妊娠期間がなければ産休で企業から邪魔がられなくなるだろ」
「お腹を痛めた子だからこそ愛情を持てるんじゃないの?」
「そこがもう男女差別なんだよ。男はどう頑張ったってその痛みを得られないだろ。女だけずるいってことになる。そもそも痛めてないから可愛くないなら父親の存在ってなんなんだよって話になるだろ」
「なるほど……」

「服だって言葉遣いだってセックスでなくジェンダーで選ぶべきなんだよ。恋愛だって男同士、女同士でもOKとする」
「同性愛の場合、子供はどうするの?」
「今はもう男同士とか女同士のDNAを取って代理母とか使って、あるいはポッド内で子供を作れるだろ。例えばお前とリディアちゃんのDNAで子供を作ることもできるわけだ」
「な……なんか気持ち悪い想像ね」
「そうか?俺的にはアシェットのメルとクミールの子供とかリディアとルシアの子供とか考えてみると結構楽しいけどな」
「ふむ……それは面白いかもしれないね」
メルは顎に手を当てて首を傾げた。
「それとソルフェージュを第三のジェンダーとする。ユルトのようなな」

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