人工言語学事典記事:【人工言語屋は自分の発音できる音を自言語に与える傾向】

人工言語学事典記事:【人工言語屋は自分の発音できる音を自言語に与える傾向】

2016/3/29 seren arbazard

カテゴリー:音論

人工言語屋は自分の発音できる音を自言語に与える傾向がある。大抵の人工言語はユーザーが作者一人のみである。作者は、ユーザーの鑑とならねばならないから、自言語の発音が完璧でなければならない。なので普通は自分の母語が持つ音を自言語に与える。母語になくても語学や音声学の習得に拠って発音可能になった音は使用されやすい。
たとえば日本語には[ɹ]がないが、日本の人工言語屋はふつう教養があるので英語の[l][ɹ]などの音声が使われることはままある。
フランス語のrの音やイタリア語のふるえ音[r]なども、これらの言語が有名であることから入りやすい。

その理屈で言えば中国語のそり舌音も採用されやすそうだが、少なくとも日本の人工言語では[l]に比べて[ʂ]はほとんど使われない。中国は日本に近いし話者も多いのにそり舌音はあまり使われない。思えばセレンの母校の学習院の文学部にも、日英仏独文はあったが、中文科は無かった。過去の欧米至上主義の名残で中国語の音声は日本ではあまり採用されないのではないか。

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