ランジュ – 2012年3月9日

※nias注:旧版からの移植記事です。

2012年3月9日

メルの部屋のベッドに腰掛け、セレンは彼女に問いかけた。
「針金をある比率で半分に折り、円と正方形を作る。このとき面積の和が最小となるときの比率はいくつだと思う?」
セレンは手におびただしい量の式を書いたメモを持っていた。代数で定石通りに解いたのだ。
メルは一瞬だけ目をチラッと右上にやると、「π:4」と答えた。

あまりの早さにセレンは驚いた。
「なんで分かった!? いくらなんでも暗算早すぎだろ。というか暗算できるほど単純な式じゃないぞ」
「暗算以前に代数で解いてないよ」
「じゃあどうやったんだ?」
するとメルはさらっと答えた。
「円が正方形の内接円になるとき、面積の和が最小になる。よってπ:4」
セレンはぽかんと口を開けたまま放心した。

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