2001/12/3(mon)am  大河原君が帰った。今、5:55.これから大学。しかも文学演習の発表だ。また寝れないな、これは。まぁ、寝ないほうが良いかもしれないな。またあの夢かもしれない。  大河原君に、メルとの事を話しそうになった。話したのは先月の事だけだ。11/9だったかな。取り敢えず木曜の事なのは確かなんだが、例の事、やはり書きとめておこうと思う。大河原君に言った今、別にこの世から抹消する記憶でもなくなった。馬鹿馬鹿しい。  そしてこれを期に、あの日の事も書いておこうと思う。やはり忘れるなんて都合が良い。きっと、覚えてる事が罰だ。だから、書く。  一番始めにいけなかったのは何だろうな。俺のプライドが高かった事だ。俺はプライドが高い。俺を格好良いという少女は多かった。まぁ、未だに多いんだが、それで何人か付き合ったりしたりもしたけど、殆ど俺は基本的には人形モデルだった。女子の憧れといえば聞こえは良いが、悪く言えば見世物に過ぎない。ましてそんな都合の良い環境にいたから、女の子に困る事はなかったわけで、それが却って良くなかったと思う。その環境によってプライドが余計に高くなってしまった。女の子とまともに付き合えなくなった。その上、女嫌いだった事が更に状況を悪くした。中学の最終学年の俺は特に女嫌いだったのに女が寄ってきた。更に最も悪かった事は、俺は女は嫌いだったが、女の体は好きだったという事だ。ところが、プライドが高いせいで絶対自分から誘う事はできなかった。やりたいと表現するのは女への敗北を意味したからだ。それで俺はやりたいのにやれない+もててるのにやれないという苦しみを味わった。そりゃ、いくらなんでも誉めてくる女や良い寄ってくる女を睨んだり無視したりしてるのに、都合よくいきなり自己紹介すらなしに「抱いて」という女など 狂人でしかない。まぁ、なるべくして俺は童貞だったわけだな。  それは良い。もはやどうでも良い。だが、そのどうでも良い事がどうでも良くない事を生んだ。俺はやりたいのにやれないという事で余計に性欲が強くなっていった。それがあの日の事を生んだ、と、少しでも理性ある解釈をしたい。  メルが俺の事を性的にからかうようになったのは、8歳の終わり頃からだったと思う。わざと性的な言葉の意味を聞いてきて、俺が困るのを見て、にやついたり。そういうことをその頃からし始めたと記憶している。リディアとどこまでえっちなことをしたかというのを聞かれた事も何度かあった。  さて、先月の事だが、メルが遊びに来た。無論、現状では規則違反だ。俺は仕事が助かったが。学校を行った振りをして途中さぼった。取り敢えず3万ほど持っていった。メルと行く時はリディアの時より多く金を持っていく習慣がまだ直ってなかったな。  場所は渋谷になった。ハチ公だ。メルは俺が好きだと言って『ミールの書』内でメルが着ていると書いたあの白いワンピースを着て来てくれた。本人は少し季節はずれだといっていた。  俺が2001/02/02にメルと行き違いになったハチ公周りのあの横断歩道の所に立って「ここだよ、ここ。ここでお兄ちゃんお前とすれ違ったんだよ」と今更力説した。メルは「寒いから行こうよ」とつれない態度だった。ぴょんぴょん横断歩道では寝てる俺が馬鹿に見えたんだろうか。 「どこに遊びに行きたい?」と聞いたら、「特にない」というので困った。「行くとこ、ないなぁ。大学につれてっても良いけど、人に会うとまずいしなぁ」とか言って俺が考えていると「そういえば、お兄ちゃんの生まれたとこってみたことない」というので「行く?ちょっと遠いけど」と聞いたら「行きたいな」というので、石神井まで戻った。が、戻ったはいいが、住んでた家など覚えてないので、石神井公園でたむろして終了した。「第一、ここで生まれたわけじゃないしな、厳密には」といったら「生まれた場所はどこ?」というので「ここの隣、大泉の病院」といったら「じゃあ、そこを見たい」というので、また電車に乗った。  大泉にいったのは無茶苦茶久しぶりだった。ひまわりに行ってた頃を思い出した。撮影所の方へ行ってみたが良く道を覚えてなかった。坂があって、昔あったはずの自動販売機がなくなったりしてた。長かった道が短くなっていた。「思い出の世界の方が現実の世界より大きくて広いのかな」とメルに聞いたら「小さい時は、まだ思い出の数が少ないから、ひとつひとつの思い出を大切にできるからじゃないかなぁ」と言った。「なるほどね。だから、大きいのか」と言ったら「じゃあ、今、現実に見えているこの景色は思い出よりどのくらい小さいの」と聞いてくるので「忘れてしまえるくらい小さい」と言ったら「メル、それがどういう気持ちかまだ解からないな」という。俺は「解からなくて良いなら、俺はそうなりたいもんだけどな」と答えた。非常にぽんぽんと小気味良く進んだ会話で、テンポが良く、言っている事も通じて、流石メルだなと思った。やはり話しやすい知性をしている。  メルがリディアもここに連れてきた事があるのかと聞いてきたので、「ああ、随分前にね」といった。その時リディアが体調不良になって大変だった事とか、今さっき通った坂道で気持悪くなって吐いてしまったとかいう話しをした。  大泉を回ったら、「お兄ちゃんとお姉ちゃんが始めて会った何とか公園って場所に行きたい」というので、また電車に乗って小手指まで行った。もう1時近くになってたので飯が食いたかったが、メルがおなかがすいた様子がないので放っておいてひたすらガムだけ噛んでた。  長野公園に連れて行って、初めて会った日の事をジェスチャーして演劇のように克明に伝えた。メルは「不思議な出会いだね」といった。「うん、不思議な出会いだった」と俺は答えた。でも、そんな事言えば、メルとの出会いも不思議だと思う。  その後ホワイトハイムにも連れて行った。「4,5年生の終わり頃に越してきたんだ」といったら、「その前までさっきの所(大泉)に?」と聞くので「違う。この町の別の所に」と答えた。すると、「そこも見たい」という。が、流石に腹が減ってきたので、「お昼にしようか」といったら、「うん、良いよ」という。適当に店を探したが、メルが電車の中で移動しながら食べれば時間が浮くというので「それで恥ずかしくないなら良いけど」といって俺は店を考えて、西友まで行って、地下の『ポルトガル』みたいなパン屋でパンを買った。前後するが、「電車でって……まだ見たい所があるの?」と聞いたら「うん……ヨコハマ」と答えた。俺は「ああ」と頷いた。「そろそろ、良いかもしれないな」と加えた。  パンを買ってから上新井の家を見せて、ついでに上小と、こっこの家を見せた。こっこの事を話したら「その女のこと、好きだったんだね」という。「怒ったのか」と半ば冗談で聞いたのに、「その女にね」としれっと肯ったので少し不快に思った。  小手指に戻ると遠回りなので、こっこの家から、写生大会した神社の所を通って西所までいって、乗った。そこから横浜まで行って、着いたのが3時台だったと思う。横浜に着いてからあの公園みたいな所を探した。だけど、結局見つからなかった。1時間くらいして、あまりに寒くて止めた。メルの身体が心配だった。風邪を引かせては行けないので、「もう諦めよう」と言ったら「うん」と肯った。 「疲れたね。もうこれくらいにしようか」と言ったら「最後に一つ」というので「どこ?」と聞いたら、ちょっと様子が変わってもじもじしながら「お兄ちゃんとお姉ちゃんって、初めはどこだったの?」と聞いてくるので、解かっていながらも「何が?」と聞いたら「そこに行ってみたいな」と言う。「オヴィとかザナとかクリスから聞いてるんだろ、どうせ。その公園に行きたいってこと?」と問いただしたら「うん」という。「え……でも、なんで」と聞いたら「なんとなく。他に観光地ってそれくらいだと思う」といった。正確な台詞は覚えてるわけないんだが、観光地といったのは不適な日本語だと思ったので覚えてる。けど、直さなかった。結局、そこだけ断るのもなんだし、仕方がないので連れて行った。別に恋人と結ばれた事は恥じゃないからな。避けると否定しているみたいで嫌だ。それに、どうせ新宿なら帰り道だしな、と思った。  新宿についてから、俺がその公園の道を忘れてたので、道に迷って、歌舞伎町や百人町の方まで行ってしまった。で、あの公園に辿り着いたのが時計見てなかったけど、多分4時台ギリギリかそこらか5時過ぎって所だろう。相変わらず遊具とかない公園で、周りが民家だらけで、良くこんな所でえっちできたなと思う。  公園に着いた時に女子高生っぽいのが2人いて、携帯を弄ってた。女子高生の片割れがメルを見るなり「可愛い!」と言い出した。俺達は遠くで聞こえない振りをしてて、向うもわざわざ近付いてくる事はなかったけれども、その他にも「芸能人っぽくない」とか「モデルとかしてそう」とか「ハローって通じるかな」とかいい加減なことを言ってた。メルのこと、一体何人だと思っていたんだろうか?そして1番ギャグなのが「となりの(=俺)って何?中国人とイギリス人のハーフみたいな人。どーいう関係」と言われたこと。は?俺、中国人っすか?ってゆ〜か、イギリス?フランスの血は入ってるけど、イギリス……?!というか、俺とメルの関係、お前らこそ関係ないだろ。馬鹿女子高生がって感じだった。俺が睨んだら「やべ、通じてるし」と言いやがった。多分、俺達が日本語通じてないと思ってたんだろうが、なめるな。結局そいつらが煩かった上に、そいつら引きゃあしないんで、メルに解説は諦めた。まぁ、解説したくない内容だったんで丁度良かったんだが。  その公園は5分もいないうちに去った。公園を出た後、メルに「もう、帰ろうか」というと「え、今日はずっと一緒にいてくれるんだと思ってた」というので「お前がまずいんだろ」というと「だって、今日は内緒で来てるんだよ?」という。思わず、俺は馬鹿かと思った。「そりゃそうだよな。うん、そりゃそうだよな」と反復しつつ、理解した。「じゃあ、俺がいないと1人ってこと?」と聞いたら「うん。クミールちゃんにはお母さんの所にお参りに行くことにしてあるし、予定も予め組んでるから、早まったりすると説明に困るんだ」というので「そっか……」といった。が、この時は可哀想ではあるが帰るつもりだった。 「今日はホテルどこにしてるの?」と聞いた。そこまで送ってやるというつもりだったが「1人で内緒で来たし、メルじゃ泊めてもらえないから、まだなの」という。じゃあ、チェックを俺がして俺だけ抜け出そうと思っていたら、「メル、子供じゃ泊めてもらえない。お兄ちゃん、おいてっちゃうの?」と心細げに言う。この娘のこの可愛い仕草に何度騙されたことかわからんが、どうしても逆らえない。「でも、お兄ちゃん、明日学校あるし」みたいに言って少しやり取りしてる間に、さっきから振り始めてたうざい小雨が我慢できない程度になってきた。サンクスが近くにあったのでそこまで小走りした。傘がないので降りが強くなったら困るなとか考えていたら、メルの髪に雨粒が降りているのに気付いて払ってやった。そしたら急にその瞬間、独り残されて心細げなメルの姿のイメージが沸いて、放っておけなくなった。 「寒いか、メル?」と聞いたら「うん。でも、大丈夫だよ。お兄ちゃんは?」と聞いてくるので「今日はちょっと一人で寝るには寒いかな。特にお前みたいなちっちゃな娘にはな」と言った。少し気取った台詞を言ったのに、メルはちっとも馬鹿にしなかった。その代わり、反応もしなかった。頭の中で罵倒でもしてるのかな「馬鹿じゃないの」とかさ、と思っては見たけれど、すぐに「それはないだろうな」と思った。根拠はなかった。でも、それは裏返せば、根拠なんかなくても信頼できてる関係だと言うことだ。  メルは何も言わないで柱に貼り付けてあるイーオンだかなんだかのポスターを見てた。「お兄ちゃんも、泊まってあげようか」と今度は直接的に言ったら「え、いいの?学校は?」としれっと言った。「しょうがないよ。やっぱ、お前を放って置けないし」といったら、素直に「ありがとう」といって笑った。あの顔が、きっとメルの本当の顔だと思う。あの顔と言っても、この日の事はきっと書き残すまいと思っていたし、何せ先月の事なんで俺の記憶力じゃ行動チャートくらいしかもはや記憶になく、ちゃんと発話した言葉通りの台詞など、詳細な部分は殆どおぼえてない。こういう内容の台詞を言ったという事くらいだ。  結局泊る事になったが、いうまでもなくラブホテルで1泊というノリはリディアじゃないのでできない。あっちの方がモノによっては三千円くらい安かったりするんだけどな。でも、メル相手に行けないし、ホテル側にも断られるんじゃないか?  まぁ、常識的にシティホテルにした。平日だし、割と時間も早めだったんで、新宿でも取れた。「有瀬 紫苑」の名で登録したらメルが「名前まで書かなくても良いんじゃないの」といって笑ってた。「この名前、好きなんだよ」といったら「アルセでアルシェって……まんまじゃない。まさかお兄ちゃんの名字?」というので「それは秘匿事項だ。おまえの前では言えないよ。でも、少なくともこれで有瀬じゃないってことはわかったろ」といった。「じゃあ、紫苑って何?」というので「俺が女だったらそういう名前だったと親が言ってた」と言ったら、急にメルは話しをそらした。まだ、俺に家族が有るというネタがダメらしい。しかし、こんな話しをしててもフロントの男は何も言ってこなかった。別に偽名でも全然良いんだなーと思った。  部屋は意外と広くて、いかにもな洋室だった。まぁ、内装などはどうでも良い。というかあんま覚えて無い。壁は白だったとかは覚えてるけど、そんなの当たり前だしなぁ。見晴らしはあまり良くなかったが、それもどうでも良い。俺はともかくメルはとにかく疲れただろうから、入って靴も靴下も脱いで、ベッドに横になった。俺はいつものクセでメルの靴に手をかけた。私立の学校に通ってる小学生の女の子がよく履いてるつっかける感じの黒い靴だった。ん?赤か?いや、とにかく赤かも知れないけど、多分黒な靴で、とにかく脱がせてあげて、白い靴下(ちょっと待て、薄い桃色だったかもしれん)を脱がせてあげようとしたら、「良いよぉ」と避難気にいってくるので、わき腹をまさぐってくすぐったら、メルは「きゃ」っと小さく悲鳴を上げて身体をくねらせたので、「そぉら」とか言ってその隙にベッドに引っ張り倒して、暫くじゃれてた。メルは会った頃みたいに小さな子供みたいにきゃっきゃと喜んでいた。足をばたばたさせて俺を軽く蹴ったり、俺に乗っかって「おかえしだー」みたいな感じに言って俺をくすぐった。俺はこの年でもまだくすぐったがりなのでくす ぐられて「やめろ、やめろ」と笑ってた。楽しかった。なんか、疲れが取れた。結局靴下は俺が脱がせてあげたというか、じゃれてる間に引っ張って取った。脱がしたらメルがすかさず「匂いかがないでね」というので「やんないよ」というと「だってお兄ちゃん、なんでもすぐ匂いかぐんだもん。そんなの嗅がれたら恥ずかしくて死んじゃう」という。「ははは」と俺は笑ってたが、確かにメルが注意しなきゃ癖でかいでただろうなと思う。勿論、黙ってたけど。  じゃれて疲れてたんでねっ転がってまったりしてた。メルもいつもなら乗ったり膝の所にきたりするのに、ぐったりとねっ転がってた。でも、ずっとぶっ倒れているだけにもいかなくなった。いい加減腹が減ったからだ。  少し休んだら飯を買いに行こう、その時にゲームでも買おうと決めた。小休止をとって、外に出た。出る時にフロントでもらった鍵をどこに置いたか忘れて、探そうとしたらメルが「ここだよ」と言ってスタンドの横から鍵を取った。「まさか、今さっき置いたばかりでもう忘れてたの?」と聞かれ「ああ、忘れてた」といったら「もぉ、お兄ちゃんのバカ」と呆れられた。相変わらず兄をバカ呼ばわりする妹だが、あんまりむかつかないので俺もそのままにしている。妹に怒られる兄という図は実は密かに面白くて気に入ってる。詩織ちゃんに「キミ、真面目にボール取らないとダメでしょ!」とか「キミ、強そうだからこっちに来て」とか言われたり、ボール遊びで手加減し過ぎると「さぼるなー。真面目に付き合ってよぉ!」とか言われたりするのも、可愛いので気に入ってる。俺は誰が見ても賢そうに見えるので、丈士とかにバカブと呼ばれたりすると面白いと思う。結構バカにされるのは面白くて好きだ。小馬鹿にされるのは許さないが。  飯を買ってコンビニでゲームを探したら、UNOとかでも千円近くするので馬鹿馬鹿しくて止めた。中に黒髭危機一髪のミニ版みたいのが売ってて「はぁ、こんなもんもあるんだなー」と思って、面白そうなので買ってみた。思ったほど高くなくて、UNOなんてカードでしかないのになぜあんなに高いんだと不思議に思った。  ところで、俺はメルの前で臭いの強い物は食べたくないと思って、ドリアとかグラタンとかスパゲッティとかはやめてた。いつ「ねぇ、お兄ちゃん、ちゅーしてぇ」とか甘えてくるか解からないから、そういうのは止めた。ピンキー食いすぎて舌が痛くなってたんで、ミントは止めて、キシリトールのガムを買った。飯は結局小分けざる蕎麦と赤飯のおにぎりにした。メルが来て、俺の手のものを見て、「お兄ちゃん、もっと食べないと、もっと痩せちゃうよ」と言ってたが、当の本人は俺が飯代出すと言ったからか、遠慮してパン1個しか手に持ってなかった。  俺はそういうメルとメルの手の中を見た瞬間、急に喉が詰まったようになって、「ちょっと待ってて」といって本のコーナーに行った。雑誌の前で俺は口を押さえたけど、全然効果なくて、泣いてしまった。目から涙が止まらなくて、なんでかわからなかった。今の今まで普通に買い物してただけだったのに、なに男のクセにないてんだと思った。でも、俺の身体の心配をしながら、妹が欲した食料はたったのパン一つだということが、どうしても耐えられなかった。メル本人は全然意識してなかったんだろう。俺がこの時泣いてたなんて知らなかっただろう。こういうのを「けなげ」というんだろうと思った。メルをいとおしく思った。目が赤くなると知られて嫌なのに、涙が出た。隣で男が本を読んでた。そいつに気付かれるのが嫌だったが、見てみたらぜんぜんこっちに気付いてない感じだった。所詮現実なんてそんなもんだろうと思った。  泣いたのがばれるのはもう仕方ないんで諦めて、メルの所に戻った。メルはなんでか天井をみてた。「何見てるの」と後ろから言ったら「んーん。別に。くしゃみが出そうで出ないからー、電気みてたら出るかなぁと思って」という。俺はなんか可笑しくて「ああ、そう」と言ってはにかんだらメルは「あーーー。ダメ、出ない」と言った。メルは俺を見たが、泣いたかなんて事は特に聞いてこなかった。  俺はメルに「もっとおいしいものをたくさん食べて良いんだよ」と、多分リディアが聞いたら「私には絶対そんな言い方しないのに」と嫉妬するくらい、自分でも驚くくらい素直にやさしい言い方で言った。そしたらメルは「でも、悪いし……」と素直に言ってきた。「お兄ちゃんに甘える妹も可愛いもんなんだけどなぁ。それに、メルに良い物食べさせてあげられるのって、お兄ちゃんにはむしろ嬉しいことなんだよ」と言ったら「そっか……」と納得したようだった。「なぁ、メル。俺な、偶にケーキとか食べる機会があるだろ。ああいう時に「上手いな、このケーキ」とか思うとさ、それをお前やリディアに食べさせてあげられないことが凄く凄くいつも悔しいんだよ。だからさ」と言ったら、メルは「お兄ちゃんって、優しいよねー」としみじみ言ってきた。「優しいというか、お前たちが可愛いからね」といったら、「それもあるけど、メルの言ったのはそうじゃなくて。普通、メルといる時なんだから、お姉ちゃんのコトって省くものじゃない?」と言われた。多分、俺が「メルやリディアに食べさせたい」とリディアを入れた事を言ってたんだろう。俺はそう取って「え、 そうかな。普通だと思うけど」と言ったら「女の子の前じゃさ、嘘でも「お前だけだ」みたいな態度取ってる方がさ、絶対その子も喜ぶと思うよ、それに、そういうようなコト、『ミールの書』にお兄ちゃん書いてなかったっけ?」といってきた。言われてみれば書いたかもしれないと思った。「そうだっけ」といったら「自分で書いたのに覚えて無いの?お兄ちゃんらしいなぁ。ミールちゃんがクミールちゃんと喫茶店に行った時にミールちゃんがそんなコト言ってたじゃない。全てにおいて論理的な方が良いって部屋でさぁ」とまるでミールが実在しているかのように言っていた。今確認したら、確かにそれに準ずるような台詞をミールに言わせていた。が、ミールがクミールさんと喫茶店に行ったのは「ifのない部屋」だ。「論議的な部屋じゃない」。11/30にメルと伝言で話した時は言い忘れてたが、これを書いて思い出した。今度メルに会ったら言ってやろう。「え、そんなコトいってないよ」とかいって言い逃れるだろうが。俺は話題を変えて「ゼリーとかヨーグルトとかプリンとか、食べるか?」と聞いたら「んー」というので「何でも良いよ、何が食べたい?」 と聞いたら「イチゴがいい」というのでイチゴの入ってるデザートを買った。  結局メルはそれ以外にあんまんを増やしただけで、「お腹はそんなにすいてないし、お姉ちゃんじゃないんだから、そんなに食べれないよ」と言ってた。ただ、飯以外では菓子類を結構買っていた。意外と女の子は飯は食べないなぁと思った。対極のリディアを見てるからなんとも言えないが。結局俺は夜食にパンを買って、あとはカクテルバーを2本買った。メルは酒に対しては寛容だから、別に嫌がっては無かった。  ホテルに帰って食って、メルは制アルカの近況を読んでて、俺は手持ち無沙汰でテレビを見てた。テレビがコイン式でないのがちょいとしたショックだった。ホテルなんてラブホぐらいで、ましてやるだけで帰ってたから、設備なんて気にした事なかった。なんと冷蔵庫にはジュースまで入ってた。比較的中級ぐらいの感じのホテルだったが、シティホテルなんて慣れてないから、あれがどれくらいのレベルなんて解からないが、ヘンな匂いのするラブホよりは間違いなく快適だった。  俺が木曜だと思えているのは『モー大変でした』を見ようとしたからだ。結局見なかったので、この日は休みなんてオチかもしれないが、見ようとしたからには木曜で日付は当てる筈だ。だから、このTVをみなかったら日付が解からなかったろう。  それが始まる頃にメルが「お風呂はいろ」といってきた。この年になって一緒にはいるのは気が引けたので「お兄ちゃんはこのTVみたいから」といって暗に断った。が、そしたら「うん。じゃあ、待ってる」というので「いや、この後『うたばん』ってのも見るし……」といったら「良いよ」というので、正直に「一緒に入るのはどうかと思うぞ」と言ったら「じゃあ、メルも入んない」と駄々をこねるので、俺も意地を張って入らない事にした。それで結局『モー大変でした』を見るかどうか以前にTVは見ない事にして、ゲームをやることにした。とはいっても黒髭。所詮は黒髭。メルがすぐに答えの法則みたいのを編み出して終了。  途中、モー娘の話しになって、「メルの方がずっと可愛い」と言ったら「人間と比べないで」と冷たく言われた。まだ、霊人思想なんだなぁと思ったけど、喧嘩したくなかったから言及しない事にした。  結局、後はずっと仕事をしてた。で、寝る段階になって、ベッドでメルが例によって膝にきた。ずっと歩いてたので汗をかいたんだろう、メルはなんだか少女らしい甘い体臭を出していて、くらっときた。髪を撫でて気付いたが、首の所が匂いが強いようで、髪をちょっとかきあげるとふわっとメルの香りがする。なんだか随分女らしくなったなぁと思った。というかもう大人の女にみえる。客観的に見れば絶対そうだ。妹、妹という意識があるからどうにか小さく見えてるだけの話しだ。  メルは調書に目を通しながら「メルがお姉ちゃんだったら、このままえっちなことするの?」といきなり聞いてきた。「いや……まぁ」とまごついてたら、くすくす笑ってた。「胸とか後ろから触ったりするの?こんな感じで」とかいって自分で胸を触る仕草をしたので、俺は居心地悪く「知らないよ」と言った。「もう、寝よう。疲れただろ?」といったら「お仕事、区切りがついたらね」という。  寝た時間は見てないから知らない。12時よりは前だったと思う。メルが「一緒に寝ようね」というので「ああ、久しぶりだな」と言った。メルがパジャマに着替える間、俺は書類に目を通していて、気付かない振りをしていたが、メルは俺の横で普通に着替えていた。  なんだか部屋の明かりを消した途端、眠気が却って覚めた。寝ようとする前までは無茶無茶眠かったのに、疲れすぎて却って寝れなくなったようで、寝付けなかった。メルは静かだったので寝たと思っていた。そしたら、俺がうとうとし出した頃「ねぇ、お兄ちゃん」と小さい声で言われた。「何?」といったら「起きてたの?」というので「ああ。起きたの?」と日本語で聞いたら通じなくて”What do ya mean?”と聞かれ”Were you asleep?”といったら「違う。ずっと眠れなくて」という。「俺も。メルも疲れて眠れないの?」と聞いたら、「えっと……あのね、足が痛くて眠れないの」という。  それで起きてメルの足をまくってみたら、何となく微かに少し赤い感じがしたが、外見はそんなに変わってなかったと思う。でも、触るとすぐわかるくらい熱を持ってた。俺は腰を患ってるからシップを袋に入れてて、「シップ貼ろうか?」といったら、シップという言葉が日本語で通じず、英語でもアルカでも表現できず、実物を見せた。そしたら「それ、ダメなの。メル、肌が弱くって。痛くなっちゃうの」と言ってた。なんだかsoreという英単語をソアーというよりはソーアという風に繰り返してたのが印象的で覚えている。  仕様がないから足を手でもんであげた。さすっているうちに、「お兄ちゃんは痛くない?」ときいてくるので「大丈夫だよ。それより少し腹が痛いかな」といった。「ほら、お兄ちゃん、胃とか弱いだろ……」と言ったら「メルもおなか痛くなったりするよ」という。「女の子の方が腹は冷えないそうなんだけどな。麻衣子ちゃんもおなかは丈夫っていってたけど」といったら「違くて……生理とかで」というので「あ……ごめん。なるほど」と納得した。続けて「そうだな。大変だそうだもんな」といったら「先週までそうで、でも、今は終わったから楽」といってた。メルは続けて「だから、今なら大丈夫なんだけどね」と意味深にいったので、またからかってるなと思い、無視した。  俺が黙ってると、メルが「あのね、ほんとはね」みたいに切り出してきた。「うん」と聞いていたら「ほんとは、今日、お兄ちゃんにちゃんというつもりだったの」という。「何を」と聞いたら「メルのこと、恋人にしてくれないかなって告白するつもりだったの。前と違う仕方で。それでお姉ちゃんとの間に何か隙があればと思って今日はお姉ちゃんの事いっぱい聞いたんだけど、なんだか上手く見つけられなくて。勇気も出ないし。諦めてた」という。俺は内心困ったなと思いながら、そういう顔をすると傷つけてしまうので黙っていた。「やっぱり、メルじゃダメ?」と聞いてくるので、「う〜ん。リディアは身体だけの浮気だったら許してるんだけどね。心の浮気は許さないんだ、当然ね。で、これがメルじゃなくて大学の女の子とかだったら、きっとOKしてんだけど、メルが相手じゃお兄ちゃん本気になりかねないからなぁ。それは困るんだ。メルだからこそ、本気になれそうで怖いんだ」と弁解した。  メルは暫く黙ってたが「でも、諦められない」という。俺は「でも、そうしてくれないと。お兄ちゃんはメルを受け入れる事は悪いけどできないし。どうしたら諦めてくれるかなぁ」と聞いたら、「わからないけど」という。  そして、メルは「お兄ちゃん……がぁ……なにか、思い出を、メルにくれれば、きっと」といった。一瞬意味がわからなかったが、すぐに解かった。なんかの少女漫画でみたことある告白の仕方だ。メルは結局女だから今思うにこういうヒロイックな漫画チックな事の運びが好きなんだろうな。と、今なら思うが、その時はそんなに冷静でいられなかった。つまり、抱いてくれということだろう。当然というか、気まずい雰囲気で俺は黙った。俺は暫く黙った後、「思い出……って……何が」ととぼけた。こういうのはメルのロマンチシズムを崩して興醒めにさせるのが良いと思った。けど、結果的に言えば、勢いつけて告白した女はもう棄てる恥がないから無敵だということだ。そう思い知った。  メルは「お兄ちゃんにたった1回でも、優しくしてもらえて、お姉ちゃんみたいに恋人な事ができて、お兄ちゃんの恋人と同じだったっていう思い出っていうみたいなのがあれば……」とやたら婉曲的に言ってくる。俺は散々悩んだあと、多分、その場の雰囲気から逃げ出したかったんだろうなと思うが、理性的に断った。 「でも、お姉ちゃんとかに知れたらどうするの?ダメでしょ。使徒としてやってけなくなるよ」といったら「メル、絶対いわない。お兄ちゃんも言わない。その事、お兄ちゃんと二人きりの時もいわない。だから、ね?メルとお兄ちゃんだけの内緒で、それに、今日だけで良いから」と食い下がってくる。  こうして文章に直しているとここで俺はいくらでも他の言い方があったんじゃないかとやたら後悔の念があるのだが、いくら後悔しても俺が「ほんとうに約束を守れる?これでお兄ちゃんの事を諦められる?」といってしまった事は変えられない。  メルは「うん」という。俺は腹を決めた。「でもな、メル。そういうことがどういうことか、知ってるの」といったら「一番好きな霊人と特別に親密になる事」とメル・アルカで模範的に答えてきたので何とも返せなくなった。「それが俺で良いの?」と聞いたら「何言ってるの。お兄ちゃんじゃなきゃ絶対イヤ」という。  それで結局、そのあと、保健体育の授業みたいな事を話した後、ゆっくりゆっくりと、まずはパジャマの上からメルの身体を撫でて行くことになってしまった。妹の身体を撫でているということを俺は極力忘れようとした。「この娘とは血が繋がってない」という台詞を頭の中で何度も連呼しながらメルの体を触った。 「くすぐったい?」ときくと「うん。お兄ちゃんって、可愛いね」とヘンな答えを返してきた。メルは、でも、子猫みたいに少し震えてた。  女とえっちするのにこんなに気を使ったことは今まで一度もないし、もうこれ以上はないだろう。とにかく、メルの心と身体を傷つけないように傷つけないように、注意して注意して行った。結局下着はずらすだけで脱がさなかった。恥ずかしいだろうし、全部は脱がさなくともできるからな。  メルは「くすぐったい」とか「なんだかひりひりする」とか「ちょっと痛い」を繰り返していた。  結局3時間以上かけて頭のてっぺんから足の先までくまなく愛撫してあげた。書きづらいことだが、やはり小さい頃からオナニーをしてた娘だけあって、性器の愛撫は少しひりひりするとはいったものの、痛がることはあまりなかったし、ひどく感じていたようで、すぐに湿った。12歳の少女でもオナニーとかで慣れてるからか、ちゃんと感じたり、ましてや愛液なんて出るもんなんだなぁと不思議だったが、生理が来ている以上、子供が生めるんだから、それで当然なのかもしれない。  結局、イッたのかどうかはよくわからないが、枕に口を抑えてきゅんきゅん子犬みたいに鳴いたり荒く息を吐いたりしてた。2時間目を過ぎた頃と、3時間目くらいの計2回、メルの膣がぴくぴくして、俺の指を中に引きずり込むような感じできゅっきゅと強く締めあげた。同時に嬌声がうめくような余裕の無い感じになって、ちょっと心配だった。顔が赤くなって苦しそうに見えるけど、ぼーっとした瞳で天井を見てた。太腿の内側が膣と同じく痙攣して、お尻と腰が俺の指から逃げるんだか追うんだか解からないような動きで上の方に上がって行って、じわーっと愛液が多く垂れてきたんで、「ああ、いったのかな」とは思った。この辺の件は衝撃的だったのでやたら細かく覚えてる。でも、12歳の少女じゃ、まずイクなんてないだろうなと思った。「気持ち良いの?」と聞いたら恥ずかしげもなく「すごく、いいの」と小さく何度も言った。出てきた愛液を舐めて見たら、しょっぱいとすっぱいの間のような感じだった。甘酸っぱい塩というのがあるならそれに該当するだろう。「どんな味なの?」と聞いてくるので「なめてごらん」といったら「なんか、きたないよぉ」と いって笑うので、「じゃあ、お兄ちゃんがキスして移してあげるよ」と調子付いて言ったんだな、この俺が。その通りメルの性器に口をつけて啜ってからメルの口の中に注いだ。メルは「ヘンな味。まずい。それに、なんだかくさい……」と嫌がっていた。「ごめんね」というので「何が」といったら「そんなとこ、舐めなくて良いよ。汚いもん」というので、「汚いとか嫌だなんて思わないよ。可愛いメルのだからな」といった。それは本音で、なんだかおしっこの味のする妹のあそこなんだが、可愛いので許せた。メルは素直に「そう」と肯定的に返事した。リディアもこれくらい素直なら良いのだが。 「挿れるのは止めておこうね」といったが「やだ、きちんと最後までして」という。「でもな、コンドームがないじゃん?だから、ダメだろ」といったが「大丈夫だよ。メルのことなら心配しないで」と押されて結局することになった。まぁ、リディアと同じ要領で外に出せば良いかと思った。  3時間を過ぎたあたりで入れ出したんだが、「痛かったらすぐに言うんだよ」と先に言ったら「そんなこといわないで。痛いに決まってるから。そうじゃなくて、「痛いぞ、俺のために我慢しろよ」って言って」と言う。俺は首をかしげながら「まあ、痛かったら止めるよ」と言った。で、結局メルは痛そうだが「止めないでね。絶対止めないでね」と言い続けた。  手であてがっても入らないし、俺の手で膣を広げてると支えがなくなって入れづらい。結局メルに自分でめいっぱい広げるようにしてもらって、入れていった。メルは「止めないで」というものの、自然と本能で腰が逃げるから入れづらかった。先が入ってるくらいでかなりの圧迫感があってダメだなと思った。が、結局メルが自分から無理に入れさせて、入ったんだが、途中でもう出し入れする前にもう血が出てた。俺はまた妹の処女血を浴びた。気持悪いくらい鮮血だった。去年、半ば無理に見せられた生理のナプキンについてたのはドス黒かったのに、それは真っ赤だった。最後まではとても入らなかったので、先だけで擦っていたら「奥までちゃんとして。我慢するから」というので、ゆっくりゆっくり最後まで入れた。一番困ったのが、俺のが常に立っていればよいのだが、中々入らないうちに萎えてしまうことだった。中学の頃読んだエロ本にロリータ物がよくあったが、あれは尽く嘘だと解かった。あんなにコトは上手く運ばないのだ。仮に成立させるならそれは常に立たせる異常な性欲を要求する。それには確信も経験もある。  結局、1時間以上、出したり入れたりの悪戦苦闘をして、とにかく精神を集中させてメルの膣の中で絶頂に達することができた。絶頂に達したのでゴールだと認識し、出る寸前で抜いたら、とんでもない量が出た。メルが「すごーい。こういうのが精子なんだぁ」といって珍しがってた。後はとにかくメルの身体のアフターケアで、それをやはり1時間近くしてた。でも、流石に痛みが激しいようで、もう触っても気持ち良いどころか痛いようだったので、違う点でケアした。特にメンタル面をケアした。抱いてあげて、暖めてあげて、優しく囁いた。その上自分から腕枕をしてあげた。実はここまではリディアにさえした事がない。  今、休まず書きつづけて8:47だ。もう学校に行かなくては。  結局、メルをその後お風呂に入れてあげて、いかにメルが良い女かというようなことを囁きつづけた。  その後、TVをつけたら野次馬ワイドくさいニュースをやってた。ラディン関係だったのですぐ消した。こいつのせいで凍結してるんだ。  外に出てまた同じコンビニに飯を買いに行った。店員が変わってたので何となく良かった。でも、食べたいものが無かった。それに、コンビニ弁ばかりメルに食べさせたくない。結局、ファミレスに連れて行って食べた。メルはスパゲッティを食べながらもじもじしてるので「(あそこが)痛いの?」と聞いたら、赤くなってこくこく頷いた。ミネストローネを飲んでたら、俺が誉め過ぎたからか、「そんなに(メルの身体の具合が)良かったの?」ともじもじ聞いてきた。流石に行為から1時間以上たっていたので俺も気恥ずかしかったが、頭を撫でて「良かったよ。もう、最高。これ以上ないくらいに」といった。もう俺側にも恥も外聞も無かったものでな。  ファミレスを出て、ホテルに帰ってから、とにかく寝たかったが、学校に行かないとまずい。メルは解かってくれて「メルは大丈夫だよ。帰りに寝るから」といって、結局、新宿駅で別れた。別れ際にメルはじっと俺を見て「いくつかいいたいことがあるんだけど。恋人でいられる時間がもうあと僅かだから」といってきた。「何?」と聞いたらメルはもじもじしながら「お兄ちゃんってぇ、えっち、上手なんだねぇ」と言ってきた。それが日本語で、小声で無かったので、すぐ近くを歩いてたサラリーマンっぽいのがぎょっとして俺を見てきた。俺は面食らいながら「お前は比べられないだろ、まだ」といったら「そっか……。でも、ちっとも怖くなかったし。それに、気持ち良かったし……。普通はこんな風に処女、すてられないと思う。お姉ちゃんが前にクリスお姉ちゃんにお兄ちゃんが上手いって言って自慢してたけど、メルも……うん……そう思う」と知った風な事を言った。多分、誉めてくれたんだろう。いや、俺は絶対あの状況じゃなかったらあそこまで女の子本位でしないから、上手いとは言えないぞ。あそこまで女の子本位でやればそりゃ気持ち良いだろうよ。俺はピ ンキーで舌をやられてた上に何時間もメルのからだを舐めたり触ったりしたから舌が痛かった。何せファミレスで食ったピラフが人かと思うくらい痛かったくらいだからな。 「で、お兄ちゃんのことはこれで諦めるんだね」と言ったら、メルは「うぅ……ん。うん。約束だしね……ぇ」といった。あまり釈然としない風だったが、否定すれば俺が流石にキレるだろうことはわかってただろうから、肯った。俺は(こ、このむすめ……ほんとに諦めたんだろうなぁ)と訝ってたが、今になってあの「ラブレター」の件で解かる。諦めて無い。それじゃ、俺はなんなんだ。ただただ妹の身体に手を出しただけの恋人裏切者か。これがリディアにばれたら終わりだ。全て終わりだ。メルもそれは怖いから隠すだろうが、秘密を共有するのはいかにも恋人のようで、なんだか俺ははめられたような気がしてならない。その点を大河原君に聞きたくてこの事を掻い摘みまくって説明したんだが「答えは今度までに考えておく。準ハルマになるかどうかの最終決定もその時にする」といって帰ってしまった。  もう一つのことを語る。ここからが、いうなれば本編のようなものだ。  これは流石に誰にも言いたくないことだ。  この事はメルと俺が2人で会っても、何も言わない。お互いに完全に、本当に完全に欠片もなかったことにしている。  古い記憶なのであまり覚えていない。端的に語る。  メルが処女を捨てた相手は俺だ。それは以上を見れば解かる。  俺が始めて抱いた女は2000/07/15のリディアだとしている。周りにいう時もそうしているし、そういう風に平生も自覚させている。  だが、本当は違う。俺が本当に初めて抱いた女はメルだ。  1998年。メルが11/30(ミルサージュで11/31)に10歳となる少し前だから、メルは9歳の終わりごろだった。勿論生理にすらなってなかったが、やはりお忍びで日本に来た時のことだ。  俺は当時、上福に住んでいた。高3で受験生だったが、少しも受験する気が無く、人生で1番楽しい時を過ごしていた。当時の俺はまだ17歳で、メルが9歳、今の若菜ちゃんと同じくらいだった。  俺は上福の家にメルをつれてきた。無論違反行為だが、せがまれて断れなかった。一緒に風呂に入った。楽しく過ごしてた。  部屋で遊んでて、俺はトイレに行った。俺が帰ってくるとメルが机の引きだしからアルカの書かれた赤いノートと、エロ本を引っ張り出していた。『ホットミルク』みたいなタイトルの雑誌だったかと思う。「こら、何やってるの、勝手に」みたいに言ったがメルは悪びれず「えへへー」と笑ってた。俺のエロ本をみつけたのが面白かったようだ。俺が性欲が強いことが知れたわけで、居心地が悪かった。リディアにばれるのは良いが、メルの前では良いお兄ちゃんでいたかった。  メルから本を取り上げたらメルはつまらなそうにして、「お兄ちゃん、えっちなことしたいの?」みたいに聞いてきた。俺はやや荒く「したいよ、すごくな。でも、相手はいないしな」みたいにいったら「かわいそう」と同情された。その手の同情は嫌いだったので「同情するなよ」みたいに非難したら「ごめんなさい」と謝ってきた。「でも、お姉ちゃんは相手にならないの」と聞いてくるので「あいつはまだ別にする気は無いし。まぁなんていうか、取っておきたいし」といったら「でもしたいんでしょ?じゃあ、他の子でもいいってことなの?」というので「まぁ、可愛ければ」と素直に答えたら、「えっちって誰とでも良いんだぁ」というので「だから、可愛い娘ならな」みたいに返したら、「ねえね、メルって合格ライン?」ときいてきた。いい加減に「そりゃまぁ、な」と言ったら「ふ〜ん」とだけいった。まぁ、当然その頃のメルだからそれで終わりなんだが、半ばむかついてた俺が「何?俺とだったらしても良いって思う?」と聞いたら「う〜ん、うん。良いよ、お兄ちゃん、好きだし」と言う。そこで「そういうこというとほんとにしちゃうぞ」と言ったら「だから、 良いって言ってるじゃない」みたいに生意気言うから初めは少しからかうつもりで抱きついてみた。が、嫌がらないので、なんか変な雰囲気になってきて、そのままスカートに手を入れたりして、ようするに、いたずらした。  メルは俺の様子が変わったので、はっきり言って怯えてた。怯えて何も抗えなかったんだろう。俺は当時本当に性欲が強くて、それをOKのサインだと無理やり曲解して、自分に言い聞かせてそのままいたずらを続けた。  結局、俺はそのままメルの処女を奪った。  メルのぱんつを下ろして、顔を入れて、いたずらした。色は忘れたけど可愛いスカートをめくって、仰向けにして足を上げて、なめた。風呂に入れてから結構経ってたし、風呂の後メルはトイレに行ったから、おしっこの味がもろにした。しょっぱ苦くてまずいけどなんか独特の風味があって、くさいけど良い匂いだった。トイレに行った後だったし、その上、あそこを広げると恥垢が溜まってたから、余計変な味がした。なんだか白い消しゴムの粕みたいのがクリトリスの皮らへんにこびりついてた。風呂に入れた時はそんなとこみなかったし見れるはずもなかったからなんだか意外だった。あそこ周りは赤くてサルの尻みたいな感じがした。陰唇が小さくてクリトリスの方の、だから上側の何かぴらぴらした肉の色した肉が左右にちょこっとだけ出てた。今思えば、あれがマンビラというか、小陰唇なんだろう。今までにやった女と比べるとメルのは小さくて上の方にだけちょびっとあるだけだった。気が狂うほど見たかった女の子のあそこだから、克明に覚えている。でも、それは年のせいだろう。  先月みたときにはあそこにさわさわした毛も生えてたし、小陰唇も少し大きくなってた。メルのぴらぴらを咥えて伸ばしたりしてからかったら、メルは恥ずかしがって笑って、二霊人で笑えて丁度面白い感じだった。  でも、先月とは違い、その時のメルは決して笑わなかった。  あそこと同じくちっちゃくてなんだか藤色とピンク色の間みたいなおっぱいを舐めたりした。メルは震えてて、目が合うと目をつぶった。  最後にはメルは痛いといっていたが、半ば無理やり入れた。いや、完全に無理やりだろう。メルは抗いこそしなかったが、嫌がっていたに決まってる。というか、怖かったに決まっている。  ほんの先っぽしか入らなかったが、入れたら、それはもう嘘みたいな快感で、すぐに果ててしまった。しかも、思いきり膣内に射精してしまった。でも、その時のメルは初潮を迎えてなかったので、妊娠の危険性はなかった。と、俺は計算していたことを覚えている。その状況で冷静さがあったのだから、絶対に有罪の犯罪だ。  でも、キスだけは首を振られて拒まれた。メルとは何度もキスをしていたし、あそこやおっぱいを舐めたり触ったり入れたりしたかったので、別にキスなんてどうでも良かった。それに口にも入れて舐めさせて、口の中でも射精したから、もう体験する事は無い。少女のお尻の穴といわれても、舐めて苦かったくらいで、入れる気は無かった。もうやりたい事は無かった。  メルは終わった後、俺を見てすすり泣くような声で「これで良いの」と聞いてきた。俺が何も答えなかったら、なんとも言えない声で「これで満足なんだね」と悟ったように言われて「ごめん」とだけいったら「謝らないで。まちがったことしたって思われたら、耐えられない」と言われて「わかった」とだけ言った。やたら大人びてたが、今の若菜ちゃんを見ると、この頃の少女はもう大人なんだなと思えるから不思議じゃない。「このことは、メルがお兄ちゃんを破滅するような重大な事態から救ったということ。そうでしょ」とメルがすすり泣くような声でいった。俺は「そうだ」としか言えなかった。そしたら、これははっきり覚えているのでそのまま書くが、英語でメルはこう言った。 ”Mel sworn, you definitely do this not again. Never.”  意味が不明だし、非文だが、言いたいことはすぐ解かった。多分、直訳的には「メルがあなたはもう2度とこんなことしないって誓うよ。絶対にね」というところだろう。あの娘が俺に代わって誓いを立てる、というか立てたというか。まぁ、そんなところだろう。  すぐに俺が“What if there IS “next time” ?”と聞いたら、形容できなくらい怖い冷めた目つきで”Then, I kill you in the extremly blood-cold cruel way.”といった。その後が記憶が不確かだが多分、”I don’t wanna make a thought come true, like-“The person In whoM I had very-extremly-trust evilly betrayed me,” and you, I believe, are not him, ARE YOU?”みたいに聞いてきた。とにかく英語的にはこんな感じにおかしな文でいってきた。俺は何も答えなかったら、”Say some”といって黙り、”say, I helped you, I’ve just helped you, right?”というので「ああ」とだけ答えた。そしたら、結局最後まで英語で、俺達の言葉は何も使わずに”I’m so GLAD to help you out.”といった。Help outといったのだ。  メルはそれきり2度とその事に触れていない。帰りに電車で送ったが、池袋で「もういい」と帰された。電車でも駅までの道でも俺もメルも何も言わなかった。  「気をつけて」といったきり俺も何も言わなかった。メルは「気をつけて」といったら”Of whom?”と言った。俺が何も言わないと、”What I sworn…Do you think…”といいかけたのですぐに「ああ、思うよ。二度とあんなことしない」といった。そしたら日本語で、これは台詞そのままの抜き出しだが「わかった。じゃあ、たったああいう事だけが全く何もないとしてする。だから、全て忘れて」と言った。「今回だけはなかったことにしてあげる。お兄ちゃんもこの事を完全に忘れるようにして」といったつもりだろう。俺は頷いた。  確かにメルはそれを守ってその事については何も触れない。本当に何もなかったことにしてくれている。本気であれは俺を助けたと思いこみ、本気で何もなかったことにしている。その代わり、俺が二度と同じようにメルを裏切ったら、宣告通りもはや考え得る限りの残酷さで俺を殺すのだろう。正直言って怖いが、逆らう資格はない。あの娘は一度きりならと俺の罪を全て飲みこんだ。本当に何もないかのように俺の罪を全て残らず飲みこんだ。  その後、俺に触れることを怖がったりも全くしない。むしろ自分からそれ以前までと全く変わらず、「抱っこして」などと言ってくる。それが俺には怖かった。そこまでできる貫徹した精神の持ち主が俺を「今度裏切ったら血も凍るような殺し方で殺してやる」と宣告したのだ。あれは冗談ではない。  メルは俺を性的冗談でからかう事も全く変わらなかった。本当にあの事がなかったかのようだ。それは未だにそうだ。自分はまだ処女ださえと信じこんでいたと思う。  俺は、だから俺も18まで童貞だったと自覚している。メルは先月まで処女だと自覚しているだろう。それは確かだ。台詞で解かる。あの事をお互い封印していることは間違いないのだ。でも、それが罪が消えたことは決して意味しないはずだ。でも、俺はその罪すら自覚しないで生きてきたし、これからもそうだろう。そして、俺には罰もなかった。  メルが帰って数日間、何も考えないようにした。けど、それはできなくて、何か別の事を考えるようにした。とにかく、なかった事にした。日記のような雑記を着ける時も、俺自身の気持をどこかに書く時も、あの事についてはなかった事にしてかいていた。あのエロ本は全部捨てた。リディアとは話したくなかったが、何もない事にする約束なので何もないようにいつものように話した。その後少ししてから、丈士が桜井涼子という女と付き合う事になったという話しを聞いた。初めての女らしい。1つ下のメガネの子だ。1度道端ですれ違った。向うはこちらを知らないが、こちらは写真で知っていた。あと、丈士に仲裁を頼まれて電話で話したが、普通の感じだった。俺が「こいつ、良い奴だから、そう嫌わないで挙げてくださいよ」というと「え、はい」という。結局、何か言うと「ええ、はい」と言っていた子だった。だが、丈士の前では傍若無人に振舞う女のようだった。それだけの子だった。  が、片や女で不幸で、片や女で幸せかと思い、それが衝動で初めてタバコを自分で買って、それから吸うようになった。俺が9歳の妹をレイプしたかもしれないことで苦しんでいるのに、あいつは16,7歳の女と上手くねんごろしてると思うと、なんだか不公平な感じがした。同じ女なのに、片やそれで苦しみ、片やそれで喜ぶなんて。そう思った。今思えばなんて身勝手な話しかと思う。  それから、市高さんに頼まれてた素人狙いの殴りも何回か引きうけた。金を市高さんから合わせて5万ちょっと小遣いにもらったりした。また薬とビデオのらしい。  それと同時に、人助けを良くするようになった。妙な事に、小さい女の子を可愛らしく思うようになった。小さい女の子を助けるようになった。外で凍えてた知らない老女を家に泊めたり、迷子の幼女を助けたり、何度かそういう事をしてた。それで消える筈ない事を消そうとしてた。少なくとも薄めようとしてた。無理なのに。  方法は二つ合った。汚れを消す為には、消すか、汚れを増やして元の汚れを見えなくするかだ。俺は二つやったことになる。  メルは嫌がらなかった、だからレイプじゃない。そもそも幼い妹をレイプするなんて有り得ない。そうやって言い聞かせた。そもそもメルは嫌がってなかったじゃないかとか、まして、小さい子だから何をされたか良く解からなかったに違いないとか、そう言い聞かせた。ニュースや本で、誘拐されたりした小さい子がどれだけ犯人の特徴などを覚えているかとかにすごく気がいった。  つきまとう。1番抱いた女で若いのは当時9歳で初潮すら迎えていなかった血の繋がってない妹で、避妊具も付けなければ無理やり膣内射精までした。妹はキスは拒んだけれど、口の中に俺の物を入れられるのは拒まなかった。口の中で出しても、咳をするだけで、何も言わなかった。それなのに俺にはなんのお咎めも無い。  これを栄光と思うロリータどもがいることが付きまとう。確かに蚊帳の外で見ていればおいしい思いだろう。だが、言うまでも無く消せる事なら消したい。  どうする?メル以下の子とやってメルとの事をランキングから消去する?  意味のないことだ。1番若い子じゃなくなってってさ、だからメルにとってそれがなんだ?無意味だ。というか、また今度は別の少女を傷つける事になる。Worseだ。余計悪い。しかも今度はメルじゃない。知らない子だ。確実に警察に捕まる。リディアにばれる。それも怖い。そしてメルにばれる。きっと、殺される。メルは、俺の事を、殺すと思う。そしてあの娘の気性から考えると、リディアも殺すと思う。その上自分も殺すと思う。自罰的かつ他罰的。特にリディアに対しては他罰的で、本質的に破滅的で破壊的な少女なだけに、絶対にそうするだろう。それにメルは池袋で「ああいうこと」といった。メルを再び襲うだけでなく、ああいう蛮行を誰にであれ再びするなら確実に殺すということとも取れる。なら、俺には再び誰か少女を犯すなどできない。せめてメルにできなかった分、知らない少女でも守る事くらいしか、してはいけない。  大学で周りの連中にギャグネタとしてロリコンを振舞っているが、何か有った時少女を守ったりしたいのは本音だ。あの時のメルにしてやれなかった事をして、少しでも償えたらと思う。年が二桁にも満たない幼女だか少女だかを犯したい奴らに言いたいものだが、そんなことしても少しも想像の中ほど面白くない。確かにあの時は快感は大きかった、果てしないくらい。妹を犯して、そりゃ気持ち良かったさ。だが、その瞬間だけで、後悔の方が大きい。現にこうしてやった奴が後悔してるんだから、間違い無い。  今思えば、メルがどうしてあの事を許せたか、いや、許してはいないだろうが、全てを無かった事にして飲みこんだかという事の理由がわかる気がする。5歳までに既に回りに人はおらず、7歳の時によりどころだった母を無くし、友も居ず、アルシェ内でも同年代の友は無かった。クミールさんとはまだ知り合ってなかったわけだし、要するにメルには俺しかいなかったわけだ。以下は勝手な俺の想像だが、多かれ少なかれ本質を突いていると思う。  メルには心を許せるのは俺しか居なかった。それなのにその俺が酷い事をした。それは許せない。だが、ここで俺すら失ったら、もう完全に自分は一人だ。それは耐えられない。だから、俺は失えない。でも、俺の蛮行は許せない。  では、蛮行でなければいいのだという考えが幼い彼女の賢い脳裏によぎる。兄は若く、性の処理に困り、本当に苦しんでいた。それを自分が身体を犠牲にして救った。自分は一言も嫌だと言わなかったから、兄は自分を犯したわけではない。つまり、あれは蛮行ではなく、献身的な妹の自分による兄の救済であった。でも、そう考えるのは今度だけにしよう。今回だけはそう考えよう。そしてその事をきちんと兄に告げ、もしそれを次に破るような事があったら、今度こそそれは蛮行であり、それは兄が自分を裏切った事を意味する。  そして、その時は、この男をできるだけ残酷に苦しめて殺そう。