2001/2/3 am <形容できない誕生日>  2/2は朝10時前にアンシャンテで叩き起こされた。起きてみるとオヴィだった。曰く「もうそろそろお前の誕生日で成人だろ?10進法に従うって訳じゃないがさあ、皆で祝おうってことになったんで、ちょっと出てこいよ」だ。  俺は「いつだ?」ときいたら「今だよ今」という。「え、じゃあもう既に日本なのか?」と聞くと「ああ、surpriseパーティーみてぇなもんだな」という。同時に「ネタばらしてんのにサプライズってのも変じゃないか」といってギルが笑っているのが見えた。「あれ?ギルもいるの?」ときくと「俺らだけじゃねえよ」という。 「どういうこと?一体、何人いるの?」と聞くとおおよそ「驚けよぉ、そうそうたるメンツだぜ。俺にクリス、ギル・フルミネア、ザナ・ミクちゃん、それにパール。そんでもってお前の「り〜ちゃん」と可愛い妹ちゃんの9人だぜ。どうよ?」の様に述べた。 「は!?マジで!?」と俺が驚くとオヴィはギルに「ほらな、surprise partyっていったろ」という。ギルは微笑してた。なるほど確かにsurpriseだ。認めよう。 「お前らどこにいるの?」ときいたら「う〜ん、それがなぁ、リディアはなんか用があるらしく、一緒に来れないそうで、先に新宿にいるらしいんだな。で、メルは渋谷に行きたいみたいで、ハチ公って所で拾ってくれだとよ。あと、俺らは固まって新宿に居るけどザナ夫妻とはぐれちまった。アンシャンテで探してるけど捕まらないから俺らはちょっとほっといて良いぞ。先に二人を拾っておいてくれや」みたいにいう。リディアは例の長い階段の下の噴水の所だそうだ。西口からだったっけな。時間は11:45。12:30にメルを拾うことになっていて、リディアを探す30+移動時間15分という計算らしい。  後から思うに恐らくリディアはメルにあいたくなくて、メルはリディアを避けたくて、そうやって二人とも同じ事考えた結果、どっちも皆と一緒に来なかったんだろうな。  急いで金作と風呂と飯を済ます。飯は粥しか食べなかった。で、電車に乗ってギリでセーフ。所持金は2万。これで特に問題はないだろう額だ。  新宿についたが、リディアが居ない。30分は探す覚悟だったのだが、見つからない。で、メルの約束の時間が近づいてきたので若い者優先ということで渋谷に行った。とてもあそこにはメル一人では置いておけない。  俺はあまり渋谷は行かないのだが、ハチ公前に行くと人でにぎわっていた。何故かハチ公が紅白のたすきをかけられていた。俺はメルを探すが居ない。ハチ公前で待っていると白人が一杯通るのだが、どれもメルじゃない。  ある時、ハチ公前の掲示板状の地図を見ている白人少女を遠巻きに見付けた。白い服でピンクの手提げを右手に持っている。メルかなと思って近づくとこっちをちらりと見た。が、何も言わないで少女は信号待ちに並んだ。なんだ違ったか?と思いながら近寄ると、あの辺に良く出没するエロビデオかなんか良く分からんものの勧誘野郎がその少女に話しかけた。少女は何かを言ったらしいが、多分外国語だったので諦めたのだろう。野郎はすぐ去った。少女は結局信号を渡って消えた。  うろちょろしながら待ったが来ないので方々探し出したが見つからない。結局メルを諦め一旦リディアに立ち戻ることにした。で、オヴィが新宿と原宿を勘違いしているかもしれない一縷の望みをかけて原宿にも行ってみた。が、ここにも結局おらず、新宿に行こうとしたがやはりメルが心配で渋谷に戻った。するとハチ公前に雪が降り始めた。それも束の間俺は新宿へ戻った。  新宿を探すが見つからないのでマックで食った。食ってまた探したがそれでもいない。いい加減足が疲れてきた。もう4時近かった。  いつもならこれだけ会えなければとっくの昔に返っているが、今日は皆が来てくれているようなのでそういう訳にもいかない。そんな感じで絶望のまま探していたらようやくアンシャンテが引っかかった。開いたらリディアだった。  開口一番「迷っちゃったよ〜」だと。なめるな。  背景を見るとホテル街っぽいところだった。俺を探して歌舞伎町にでも迷い込んだのだろう。俺は一応そこを頼りに進むが、辿り付けないかもしれないのでお前は独立して噴水前へ戻れと指示。  果たしてホテルなんぞ見つかる訳もなく、あいつに噴水前であったのが4時過ぎ。レーテの宣告通り亜麻色の地毛に戻っていた。瞳は緑だったが。  メルに連絡を取るようにいったが、あいつは「ねえ、もう呼んじゃうの?今だけだと思うけどなぁ、二人きりなのは」という。ああそうかと思い、「それもそうだな」というと「じゃあ、何かする?」とあいつはいった。俺は「ナニをする」に聞こえたので「うん、まあ」といったらあいつの顔色が変わって「何かするのかって疑問してるの!」といった。  偶には遊ぶかと思ったが、金を使う遊びも買い物もつまらん。あいつは俺に会えないのでアンシャンテが捕まるまで買い物をしてショッピングは済ませた様なので買い物は無意味だ。というわけで考えているとあいつが「ラブロマンスごっこ」というのをしたいという。  どんな遊びかと聞いてみたら、恋人を待っている待ち合わせ場所で俺がスタンバイし、少しするとあいつがやってきて、壮大に再開を喜んで抱いてキスをする。そしてそれを待ち人が来ないでいらいらしたり、ナンパが上手く行かずうずうずしている回りに見せ付けて面白がるというものだそうだ。 「楽しいか?それって」と聞くと「楽しいし良い気分」というので決行した。新宿の東口に結構集まっている場所があるのでそこでそれを決行した。抱きながら周りを見ると確かに野郎が羨ましがっているように見えなくもない。ほっほう、成る程、この分かり易い反応で楽しむということか。でも、結局そんな事したって何か起こる訳じゃないから只の自己満足で終わった。  で、メルを呼ぶかどうかを考えたんだが、要するにそれってやるかやらないかの選択だ。メルに一度会った以上ホテルには行けなくなるからな。子供同伴する訳にはいかないし(笑)。俺は「どうする?行っとく?俺はどっちでも良いけど」といった。対して「私も、どっちでも。あなたがしたいならするし、どうでも良いならどうでも良いし」という。両者共に言い出さないので「じゃあ、最初に見付けたホテルが5000円以下だったら入ろう」ということを俺が提案して落ち付いた。  果たして始めに見付けたのは休憩4500円という微妙なホテルだった。1階だ。何号室かまでは忘れたが。  で、入る前に今度は俺の提案で「さっきの「ごっこ」をもう一回やってみようか」といった。ホテルまでは長い一本道だったから、道の脇には大勢のやつらがいる。そいつらにみせびらかすようにしてホテルに入ろうという企画。なんとなくこうすることで俺に優越感が沸くんだな。そしたらあいつはOKを出した。  曰く、そもそも俺と歩いているのはあいつのエゴでもあるらしい。「どう?貴方達日本人は私を外人だって馬鹿にして阻害してるでしょうし、私は貴方達みたいに日本人じゃないけど、私は貴方達と同じ日本人の彼氏を連れて歩いているのよ。しかもこの男はかっこいいのに私だけを好きで、貴方達を好きにはならない。いい気味だわ」って感じなんだと。「山車に使ってごめんね」というが、いやぁそれはまあ俺も同じだしな。優越感感じさせてくれてるわけだし。でも、知らない奴に見せ付けてもつまらないんだがな。  ホテルの入り口ら辺で一人きりの野盗っぽいのがこっちを見てたのはなるほどいい感じだった。  で、ホテルに入ったんだが、リディアの「入らない病」はかなり治っていた。あいつはローションを持ってきていて、それが手助けになったらしい。愛液が沢山出てもローションほど効果がないということだろう。液体の成分がローションのと違うのだろうな、そもそも。 「今日はお前を良くするのが目的だから」といったが、思うのほか上出来で、指がわりとすんなり入った。中はあったかく、ぐちょぐちょしていた。恥ずかしがるが口説いて開いて見せてもらう。未だに毛がなくて奇妙だし、縦筋も子供のようだ。味も珍しく無味だった。本人はローションのせいかなあといっていた。舌を穴に入れてもやはり同じだった。ややあったかい。それになんといっても柔らかいぐちゃぐちゃした肉の中に舌を入れているのが気持いい。本人も良いようで、気に入っていた。とにかく股に顔を押し付けると柔らかく気持がいい。股座はグミや餅より遥かに柔らかい。ぽにゃぽにゃしてて確かに女の子は脂肪が多いんだなと再認識した。胸は弾力があってそこほどは柔らかくないが、またぐらはとにかく柔らかい。まさに少女の不思議だ。  で、あいつは頑張って騎乗位を挑戦してみた。結構上手くできたと思う。それからバックでやって終わり。今日は余り時間がないので止めた。すっかり忘れてたがメルの事待たせてる訳だしな。今日はあいつを良くする為だったのに、驚いた。あそこの具合が無茶苦茶良くなってた。驚きだ。あいつは「シャワーなんだけどぉ……使ったら皆にしたって事ばれちゃうかなぁ」といった。「う〜ん、あんまり汗かいてないんなら下半身だけ洗うか?」といったら「なんかヘンな感じ」といってはにかんでいた。で、あいつだけ少し洗って、リップを塗ってた。白い筒に入っていて、日本製じゃないみたいだった。  ホテルを出ると人目を忍んでメルに受信体勢で連絡を取った。すぐにメルが出たようで「お兄ちゃんが全然いないの!」というのが聞こえた。「え?いるよ。お〜い」と俺が顔を見せると、メルは一瞬きょとんとして「……いつお姉ちゃんにあったの?」と聞いてきた。「4時頃かな」といった所でしまったと思った。そんなこといったら1時間以上のブランクの間に何をしてたか勘ぐられてしまう。予想通りメルはリディアを少しにらんで「ふぅん……」といった。ちょっと怖かった。  リディアはすかさず「何いってるの?セレン君。あったのは5時過ぎでしょう」といったので俺は「ああ、そうだったっけな。そりゃ今あったばかりだからなぁ」といったがメルは勘付いた様で、「とにかく、メルだけ寒いんだから早く迎えにきてね」といって切った。「だけ」というのが何かを語っていた。リディアは閉じた後「ばればれ〜」といって怒った。「あの子はどうせ私だけを恨むんだから、気を付けてよ。貴方は怒られないから良いでしょうけど」と恨めしそうにしていた。俺は一言「ごめん」といった。  渋谷に行くと果たしてメルが居た。まず彼女を見て驚いた。なんと今朝見かけた白人の少女だったのだ。真っ白な妖精のような服もあのピンクの手提げも同じだ。「あれ、お兄ちゃんお前のこと見たよ」といったら「じゃあ、何で声かけてくれなかったの?」という。「でも、お前こっち見たじゃん」といったが「知らないよ、気付かなかったもん」という。 「黒いコートに黒い服で、金髪の野盗に勧誘されてただろ」といったら「うん、今日だけで勧誘・ナンパをもう3回もされたよ……」と疲れて言うメル。「な?ほら、俺ちゃんと知ってるだろ?だから本当にお前のこと見つけてたんだって。気付かなかっただけで」といったが、結局メルお嬢様の「おててあっため役」をおおせつかって服の中に手を入れてずっと温める事になった。  で、その後皆に連絡を取ってもらったら新宿にいるということがわかって迎えに行くことになった。場所がちょっと良く分からないので書けないが、まあ、歌舞伎町方面だ。本来ならあまり行きたくない街だが、オヴィがいるので大丈夫だろう。  新宿まで行く途中でこの前のリディアとメルの喧嘩は仲直りさせた。二人の頭を下げさせてごめんなさいといわせて終わった。あと、ミールの件についても話しをした。リディアは余りキャラが使われることを知らなかったので「え?私も出るの?」みたいにいっていた。前に言ったと思ったんだけどなあ。 「出るよ、三賢女の一人として」といったら「賢女……賢者ねえ。えっへへぇ、賢者かあ〜」といって上機嫌だった。出演許可getなり、と。  新宿で皆にあったら「おせ〜よ〜!」と言われた。仕様がないだろ。何時間歩いたと思ってんだ。「主役が来るのが遅かったから買い物済ませちまったぜー」とザナがいう。 「あれ?ザナ、はぐれたんじゃなかったの?」ときいたら「見つかったんだよ」という。そらそうだろうなあ。俺が「そんなこといってわざとはぐれてミクちゃんとやってたんだろ?」といったら「ちげぇよ」というが、うそくさいので耳元で「な、俺にだけ言えよ。やったんでしょ?でげしょ?YesかNoかだけで良いから。むしろYかNでいいから」と聞いたら「誰にも言うなよ……Y……かなぁ」といった。その瞬間「こいつらやってやがったんだってぇ!」と叫んだ俺。仕返しにこのかなり後に俺があいつとやってたこともメルにばらされた。子供を使うのはどうでしょう……?  しかし、こんなに集まるのは久しぶりだ。2年は直に会ってない奴もいる程だ。俺は久しぶりーといったあとに中国語で久しぶりといったが誰も反応しないので中国語はここでは駄目とわかった。 「飯食う?」ときいたが、もう軽くは食ったそうなのでまず遊びに行くことにした。カラオケもいいのだが歌詞が読めないのと恥ずかしがる奴がいるので止めてゲーセンにした。  メルがレースゲーをやりたいというのでやらせてみた。そしたらあの子はブレーキとアクセルというものをろくに知らなかった様で、ペダルを踏みもしなかった。無論即死亡。次に銃でゾンビを撃って倒して行くヴァーチャルゲームがやりたいというのでやらせたらこれも即死んだ。  ゾンビの奴はザナもやってた。あいつは「リロードがわかんねー」と騒いでいたようなのだが、俺が自分で作ったのにもかかわらずアルカの「リロード」という言葉を覚えていなかった。リディアが咄嗟に英語で説明したので俺は叫んで説明した。が、結局死んだ。ザナは「なめんな!」といってた。ご尤もです。でも、2回目は上手かった。  メルの要請で俺とメル・俺とリディアの相性を計った。メルの方が結果が良く、印字された紙を見ながら禄に読めもしないのに何故かリディアにえばっていた。  ギルとフルミネアはずっとエアホッケーをやってた。あの長い髪で良くやるなあと思った。髪に何かをつけてるらしく、その匂いが凄かった。別に良い匂いなのだが、量が多いため濃いので、あの子が頭を振るたんびに「ギルが鼻炎なら良いのになあ」と思った。  クリスはミクちゃんとプリクラを取ろうとしたが、パールに「個人で移っていて、その個人が持って帰るのはいいですが、二人で映っている物を共有したりしたら物品譲渡ですよ」と注意した。クリスは文句をいいそうだったが、俺の誕生日を壊したくないという事で我慢してくれた。    ミクちゃんはビーマニをやった。彼女ならできるだろうと思ったが全然……。4thだったんだが、彼女曰く「真中の絵が怖いんですよ」。まあ、目の飛び出る妖怪は怖いだろうなあ……。  で、そのあとミクちゃんはなんか自分の歌を歌うマシンに入って歌っていた。オヴィはスプライトを飲んでへらへらしてた。シャブ中か?というほどに。  出て歩くとバッティングセンターがあった。一階が寂れたゲーセンになっていて、キックマシンとパンチマシーンがあった。キックマシーンを野盗がやっていて、350代を出していた。俺らはそこに行ってやってみた。俺は380pだった。弱い……。しかしなんとパールのけりは500を超えた。う〜ん、流石、噂はだてじゃない。  パンチチングマシーンはおなじみソニックブラストマン。俺は130代が全盛期だったが、もはや118pだった。リディアはなんと40代。弱すぎる。小5の時の上妻と同じだ。メルは60代。しかし、調子に乗ったメルは2発目を空振りに終えた。あのゲームで空ぶるのはある意味高度だぞ。  そしてクリスが117。恐るべし。危うく女子に負ける所だった。「あんた、ちゃんと鍛えてんの〜?」と笑うので「遺伝子が違うんだよ」といった。  で、真打のオヴィがやったんだが、なんと150代が出た。140代をすっ飛ばして150代だ。はじめてみた。本人は未だ足りないらしく、満足してなかった。なめんな。化け物か?150代に行くと音が変わるね。ドガっとかって音かと思ってたけど、もっと鋭い。バシン!ってな感じだ。   で、ゲーセンを出て飯でも食うかといって歩いていたら中国ヘルスの女が俺の所に来た。俺は先頭で歩いていてオヴィがしんがりだったから必然的に俺が言われた。俺は「我不要」といったらその女は意外そうな顔をして去った。リディアは「なんか凄いねえ」といっていた。  もう少し歩いたら人どおりが減った来て、またポン引きのやつらに絡まれた。白人の男二人なのだが、俺が無視すると何か相方に言って二人で笑ってた。どうせわからない言葉だから悪くいっても平気だろうって腹で俺の悪口言ってんだろうなと思って無視した。わからなきゃ何いわれても知るか。   ところが、それはミクちゃんがわかる言葉だったらしく、ザナに告げ口した。そしたらザナがなんか良くわからん言葉で叫んだと思って後ろを見たら何故かリディアの右手を上に引っ張り挙げて喚いていた。と同時にオヴィが走れと怒鳴った。  俺はミクチャンやメルやフルミネアなどを先に走らせ後ろを見るといつのまにか5人の男が我々を追っかけてくるではないか。そりゃあ逃げるさ。オヴィはしんがりで一人を突き飛ばしていた。突き飛ばされた奴らは将棋倒しになって倒れた。  走りまくって、ようやく止まった所で、使徒が「一体なんだったんだ?」と騒ぎ出した。で、聞くところによるとこういう状況だ。エロ勧誘の白人どもは俺に「短小で下手で女を満足させられないから逃げやがった」といったらしい。それをミクちゃんが聞こえてザナに行った所、あいつはリディアの手を取って「馬鹿言いやがれ、この女があいつの女だ。しっかりさっきもやってきたばっかで弾切れなんだよ。このガキはちゃんとあの男に満足させられてんだよ」といって、最後に大声で「野郎同士で群れてばっかのてめえらのちんぽこそ化石モンなんじゃねえの!?」と言うようなことをいったそうだ。  そしたらポン引きのやつらが切れて追って来たと言うわけだ。勘弁してくれ。で、結局、ザナは俺のために言ってくれたのだろうが、こっちは子供連れなんだからその辺はもう少し考えて欲しいと言う事で終わった。  そのまま話はポン引きから風俗に移り、俺の性欲に移った。なんでリディアを泣かせるかという議題になり、結局俺にとってのセックスは他の男に威張る為の優越感の道具なんだとわかった。メルはこの間ずっとクリスに耳をふさがれて歌っている様に言われていた所が愛らしい。  リディアじゃ優越感を感じないの?と聞かれた。「いや……」とどもると、「外人だからなんて言わないわよね」とクリスが言う。俺は首を横に降る。そしたらザナが「じゃあ、企画変更。リディアがどれだけ回りの男が欲しがる女か見てみようぜ」といった。同時にリディアが「ん?」と言った感じでザナを見る。ザナが「お前、ナンパされろよ」というと「やだよーっ!」という。当然だな。  でも、結局断りきれずにやった。新宿の東口で待つこと10分。パーカーを来た20代の男が来た。俺らは信号向こうで見張っていて、エロビの勧誘はカウントしないと言うルールだ。また、リディアが実際ナンパされたら俺が待ち合わせの相手の様に現れて追い払うというルール。 「でも、俺より強そうな奴がナンパしてたらどうする?」とザナに聞いたら「そりゃあ、オヴィがいるさ」という。俺は「いや、だからお前はどうすんの?」と聞いたら「オヴィがいるさ!」という。なめるな。ミクちゃんがすかさず大阪人もビックリなぐらいに鮮やかに突っ込みをいれていた。良いコンビだ……。  で、そのパーカー君が来たので俺が信号を渡った。俺が「よぅ、リディア、お待たせ」というとパーカー君は「あ、やべ」といった顔をすると慌ててお辞儀して去って行った。「どう?ナンパされた?」と聞くと「そうだと思ったんだけど、いくらでホテル行ってくれる?って聞かれた。すっごいショック……」と答えた。  俺は信号を戻って「買われそうになったみたい」というと、「う〜ん、一応肉体的にはクリアだが、精神的にナンパじゃないなあ」とザナが言うのでもう15分待った。が、来ないようなので信号を渡ってあいつを連れ戻そうとした。しかし、信号を渡って人ごみが消えたら渡る前はいなかったはずなのに、別の男が来ていた。俺は前回と同じ手口で「よう、お待たせ」といったら男は舌打ちして消えた。リディアは男に終止にこにこしながら断っていたようだ。 「ナンパ?」ときいたら「うん。遊びにいこうって言われた」というので信号向こうの皆に丸サインを出した。  実験が終わり、ザナが「な?このように、お前の彼女は非常に他の男は羨ましがるような女だ。十分優越感感じるだろう?」といった。俺は「俺を知ってる奴の前でみせびらかしたい」といったらパールが「使徒規則に触れますから、それは……」といった。尤もだ。  皆は実験が無駄になったので飽きれたようだ。クリスはとっくにメルの耳から手を外していて「これが貴方のお兄ちゃんよぉ」といっていた。メルははにかんでいたが俺は「こんなおねえちゃん信じちゃだめだよ」と教えた。  フルミネアが寒いですねというが、男子は「お前の地元はもっと寒いだろ」といって笑ってた。が、本当に寒くなってきたので飯を食いに行った。焼肉を食うことになった。宗教上問題のある奴を探したがいなかったので焼肉にした。  が、一件目のチェーン店でもねえBABAAの店に入ったところ、いきなりBABAAに「ああ、駄目駄目。ウチは駄目なの、ごめんねー」といわれた。なんのことかと思ったら「外人お断り」なんだそうな。「まさか!」と思ったが交渉の余地もなく余所へ行ってくれと言われた。皆が培ってきた今夜の気分がぶち壊された気分だ。それに皆このBABAAの愚行に心を痛めただろう。俺が悪いことをした気になった。  皆何も言わないように務めて、次の店へ行ったらそこは全く何も言われなかった。座敷とフロアを選べたんだが、座敷の意味がわからないようなので見せて教えたら「面白い」ということで座敷になった。  ようやく皆落ち付いて、話ができるようになった。パールがリュウが来れなかった代わりに出した手紙と言うのを見せてくれた。あいつはどうやら俺に嫌われていると思ったらしく出席しなかった様で、悪い事をしたと思った。  フーヴァがいないのは連絡が行かなかったからだろう。ルージュはメルが来るならこないといったそうだ。それを聞いたメルは「なんだとー!あのバカバカバカバカ、馬鹿男っ!」といって大激怒してた。あいつらは会えば会うだけ喧嘩してるからなー。  リディアが本当は先生もくる筈だったと言った。でも、先生に付随して妹のミリアちゃんもついでとして来てみたかったそうなので、先生が行くなら一緒に来ると言うことになっており、それがリディアは嫌だったそうだ。なんでもミリアちゃんは俺のことを気に入ってくれているらしいからだ。だから会わせたくないようで、先生に言って二人とも来させなかったようだ。  それを聞いて皆はリディアを横暴だと呼んだ。「それこそシモンを物扱いしている」と男子がいうとリディアは「あー、私、このくっぱ食べたーい」と絶妙なタイミングで逃げた。なめんな。メルは小食なので俺と半分こにした。タンはメルが大反対した。「牛とキスするなんていやっ!」だそうだ。で、結局、カルビになった。  ところで、メルと俺はよくキスをする。俺がメルの文化に合わせているからなんだが、そこのやり方だと親愛には唇のキスで応じるそうだ。でも、この年頃なのでそろそろ頬ぐらいにしたらどうだと言われ始めている。  メルがカルビを食べている時に、ふと俺を見て「おにーちゃん、ちゅーして」といった。俺はなんのことだろうと少し間を開けてから取り敢えず言う通りにした。いつもなら出会いと別れの時にするものなのに、妙だと思った。してから「なんで?」と聞いたら「だって、タレが口についちゃったんだもん」にいってくすくすと笑った。それを聞いた途端、クリスの話を聞いてたはずのリディアが笑顔をクリスに向けたまま飯にフォークをぐさっと突き立てた。おお〜怒っとる怒っとると思いながらも無視。クッパ食ってろ。  まあ、後はちょこちょこと仕事をして、店を出た。俺が代金もとうかと言ったが、「誰の誕生日だと思ってるんだ」といってくれた。  出てから新宿を歩き回ってたんだが、途中でぬいぐるみの置いてある小さい店を見付けた。ショーウィンドウ越しに大きな熊のぬいぐるみが見えた。俺はメルの誕生日にポプリしかあげなかったので、「欲しいか?」と聞いたら「買ってくれるんだったら、凄く大事にするっ」というので買った。7〜8千円したが、子の行為が女子に好感だったらしく、フルミーとパールが「貴方にまかせて良かったんですね」と言っていた。  そこでちょっと話してから解散になったんだが、男子に「今日は男女別で泊まるからさ、お前もくれば?」と聞かれた。丈士に電話して今日そっちに止まっていることにしてもらえば親にばれないかなと思い電話したが全く出なかったので諦めた。ただ、良いことを思い付いた。わかれる前にリディアに頼みごとをした。 俺「なあ、リディア。俺さ、大学の奴に今日本当は飲みに誘われてたんだけど、外人の友達と遊ぶから駄目って言ったのね。で、そいつに本当に女の子といる所証明しなきゃ大学で居心地悪くなるんだよ」 リディア「うん、それで?」    俺「だからさ、今からそいつに電話するから「もしもし、こんにちわー」程度のこと言ってくれない?使徒じゃなく只のエキストラだからそれぐらい秘匿されなくてもいいだろ」    というわけで、リディアに大学の連中と思いこませ、俺は大河原君に電話をした。おばさんが出て、大河原君に代わってもらった。大河原君に「いいから黙って聞いてろ」といって黙らせといて、リディアに携帯を渡した。リディアは何も知らず「もしもし、こんにちわー」といった。俺はリディアにジェスチャーで礼を言って大河原君に「じゃあ、一旦切るわ」といって切った。  そのあと、皆を見送って、もう一度大河原君に連絡した。が、電話中に後ろからフルミネアがきて「駅までの道は大丈夫ですか」と遠くから呼んだ。俺はちょっと冷や冷やしながらも「ああ、大丈夫、有難う。じゃあね」といった。無論ここもアルカで。  それで完全に皆とは別れた。いや、結局50〜60kmも一日で歩き回ったよ。疲れた疲れた。因みにあいつの声は大河原君曰く「留守電よりくぐもってなくて、話したくなる可愛い声だった」だそうだ。いやぁ!そうかそうか!  久しぶりに皆に会えて良かった。俺が2〜3月休むことも納得してくれたし。本当に良い仲間だ。