強烈な性戒が出た。こんなバオナは久しぶりだ。鼓動の高鳴りが止まらず、寒気がし、食欲がなくなり、強い吐き気に襲われた  だけど今日はザナに呼ばれてる。いかないわけにはいかなかった  待ち合わせの渋谷に行ったら先に来てた。ハチ公って行ってたがそこから少し外れた上が黒いアーチ状になっている短い道で会った。ちゃんとミクちゃんもいた  髪型が全然変わってたので驚いた。まず前と同じで濃い緑のカラーリングは止めてて、地毛のキンパっぽいのに戻ってた。で、髪型は映画のスパイキッズに出てきた父親が現役スパイだった頃にしていたみたいなものになってて、オジサマ風になってた。とりあえずお約束で爆笑してやったら「お前こそその髪はなんだ、立つのはチンコだけにしろっつってんだろっ!」といってきてまた爆笑した。相変わらずでほっとした  とりあえず2人と抱き合って再会を喜んだ。で、約束 の決闘を執り行うことになった。一連のプロポーズの際に俺に勝つことを宣言したっていうのを聞いたときはなんで俺って思ったけど、よくよく考えればあいつって高校ぐらいの頃俺に勝てないままだったんだよな。全然態度に出さないのに結構気にしてたんだなー  人ごみでやっちゃまずいから場所を変えて人気のないところに行った。渋谷はよく知らないが、そんなに駅から離れたところじゃなかったと思う。わりとすぐ帰れたから。公園みたいなところを探してたんだけどなくて、結局人気の少ないストリートになった  格闘は久々だったから緊張した。お互い笑顔は消して本気になってやった。俺が「ミクちゃんが見てるぜ。来いよ」といったら来た。突きかと思っていたら上半身狙いの蹴りだったので、足を取ってひっくり返したら手を地面に付いて跳ね上がって、反動で突きを入れてきた。蹴りで来られたのは読み違いだったが、結局突きが反省できてない。腰の振りが大きくてしかも外側から力任せにねじ込んでくるから捌かれるといったのに変わってなかった。結局あっさり捌いて突き放した  間合いを取ってから「いくぜ」といって合図して最速で突きを入れた。昔取った杵柄で、まだ衰えてなかったらしく、防ぎきれずに顔に当たった。一応避けはしたらしく、頬をこする程度だった。前回も確かこの最速の突きでザナは負けたはずだ  で、次が覚えてないんだがどっちかから打ち合いが始まって暫く牽制してた。ってゆーかチラ見したらギャラリーが2,3人できてきたから精神的に焦った。「ケーサツきたらやだなぁ」とか思った  でもどう見ても俺の方が優勢だったと思うんだけど、「セレン、衰えたな!」といってきた。ちょっとムッとしたので「そうか?」と返したら、すぐに水月狙いで突き入れてきた。俺が話した隙に水月を狙ったってことだが、これはフェイントだと瞬時に判断した  今考えるとザナはそんな卑怯なことをしない、まして結婚をかけて、それも相手の前で。そのときはミクちゃんのことを忘れてたが、あいつは常に意識してたはずだ。あいつがそんなやつじゃないことは知ってたからフェイントだと判断して防御しなかったら、やはり上段に突きが来た。昔新宿で教えた「下を狙えば自然と下に集中するからそこで上を狙え」というのの実践だろう。ヴァールより筋がいい  だが、フェイントだというのはバレバレだったから左腕で捌きながら懐に入って、一度も成功したことのない接射を試してみた。右の腰の回転が綺麗にはまって、俺から見て左側に吹っ飛んで行った  思わずミクちゃんが「harma! non keno harma!」と叫んで、ハッとした。つい夢中になってたがミクちゃんがいたんだと思い、しまったなと思った。俺も最近弱ったことを自覚していたからついのってしまった  正直ザナは弱くなった部分と強くなった部分に分かれたと思うよ。昔みたいなハングリー精神がないかもしれない  でもまぁミクちゃんの前だし、すぐに立ち上がって蹴りを入れてきた。これを右によけたらこっちが反撃するまもなく腋下に高いとび蹴りを入れてきた。左腕でこれは抑えたが、少林寺風の2段蹴りで、もう一方を見事に食らった。腋下は外れたが二の腕に当たった。当たり所が悪くて急にしびれた  ザナは立て続けに突きを水月に入れてきた。これは右手で捌けたがもうこのへんでいいだろうと思い、避けずに打たせた  打たせて俺が「わかった。参った!」といったら、あいつは息を切らしながら「Seere」といった。と思ったらその場に倒れて真っ赤な顔で死にそうな感じでゼイゼイ言い出した。呼吸がままならないみたいな感じだった。多分接射が直撃したんだと思う  俺は水月は打たせたぐらいだから腹筋を固めて防御したんで平気で、むしろ腕の方が痛かった。あと、捌いたときに捻った右手首が痛かった  俺のほうが動きが少なかったからばてはしなかったが、気持ち悪くはなった  ミクちゃんがすかさず来て、ザナを介抱してた。ザナが「勝ったよ、セレンに」といったらミクちゃんは心を込めてザナにキスをした。なんかドラマのシーンみたいだなと思ったが、これがやりたくてわざわざ海外からきたんだからいいかと思った。俺もこんまえの韓国で海外旅行の大変さを知ったしな  ザナが「お前、弱くなったな。昔だったら初めの突きで俺はもう負けてたぜ」といってきた。「あいよ、余計なお世話だい」といったら笑ってた。ゆっくり休みたいというのでそこで別れることにした。向こうは折角来たんだからこれから遊ぼうといってきたが、正直激しいバオナに襲われてる俺に今のミクちゃんとザナを見るのは酷だから断った  とにかく女とやりたかった。それだけだ。今度来たら遊ぼうと約束して別れた。別れ際にミクちゃんに「ありがとうございます、リーダーさん」といわれ、キスされた  このキスがバオナを最高潮に至らせた。俺は2人と別れた後、駅に戻ろうと歩いていった。途中、ドコモショップがあって、メールができないから調節してもらおうと思い、入って説明を受けた。そのあとハチ公前に戻ったが、急にバオナが引いてきて、ボーっと座ってて109のテレビを見てた  今更戻れないし、もう見つけられないだろうから安藤君とかに電話して遊ばないと聞いたらバイト中だったそうで、ダメだった。成田君に電話したら学校だというのでこれもダメ。結局ハチ公前の女の子をナンパしたが人待ちだということで断られ、目白へ  大学にいって成田君と会いタカノリが北1で授業してると聞き、待ってた。タカはケータイを車に忘れたらしく、ケータイが通じてなかった  タカを見つけてブクロを歩いた。遊ぼうかと思ったがカテキョーがあるということで、ドトールで一杯やって別れた。