| 属格 名詞から「~のもの」という意味を作るときは属格にする。英語のMary'sやcat'sなどに当たる。属格は接尾辞-(e)nを付けて作る。feelenで「フェールのもの」、xianで「紫亞のもの」を意味する。
 las e xiaで「紫亞の手」。xianで漠然と「紫亞のもの」。
 代詞の場合、属格は屈折するので、anならanenではなくantになる。
 
 ・用例
 mark t'avelant et avelanten. 死神の鎌は死神のものだ。
 tu et xian. これは紫亞のよ。
 kaam e xia. 紫亞のほっぺ。
 te let flayu e miiko. ねこのしっぽ引っ張っちゃだめよ。
 tu et noan. これは私の。
 tu et amon noan, yultan. ゆーちゃん、これは私のぶーぶよ。
 
 ●形容名詞
 
 形容詞を属格化することで、「~なもの」という名詞にできる。
 これを形容名詞と呼ぶとする。
 
 kai(大きい) → kain(大きいの)
 fil(長い) → filen(長いの)
 
 tu et kai(これは大きい)
 tu et kain(これは大きいのだ)
 
 形容詞と形容名詞のおかげで意味の違いを出せる。
 
 an siina kai(大きいものが好きだ):漠然と
 an siina kain(大きいほうがほしい):大きいのと小さいのを選んでいるときなど
 
 特に形容詞と形容名詞が明確な訳語の違いを持つ場合において、形容名詞は非常に有用に感じられる。
 
 avix(具合の悪い)
 avixen(患者)
 
 形容名詞はふたつのものを比較して「長いほう」というときにfilenとして使うことができる。
 また、なんだかよく分からない長い物質を見たときに、その名詞が何だか分からずともfilen(長いの)ということができる。
 名詞が何か分かっていても言及しない場合や省略する場合に形容名詞を使うことができる。例えば「太った人」という代わりに「太いの」ということができる。wei, ti sorenで「おい、そこの背の高いの」という意味になる。
 ほかに、xivel xaiやxipi xaiなどの甘いものを総称してxainということもできる。つまり形容名詞には総称用法もある。
 用法がいくつかあるが、根底にはles et xai, les et filなどがある。
 
 制までのアルカは単語単体が存在する場合、形容詞と名詞の区別が付かなかった。
 形容名詞は20年末にリディアが最初に用いたもので、感覚的に受け入れやすかったことと、文意の違いを表現できることから、20年末から21年初頭にかけて速やかに受け入れられた。
 初心者としては属格の頻度が増えることで、辞書に載っていないと感じる単語が体感的に増えることとなり、これは短所といえるだろう。
 
 ●形容名詞と受動名詞
 
 fil(長い)、filen(長いの)、filol(長くされたもの)の違いについて。
 
 まず、filは形容詞なので明らかに異なる。
 では形容名詞と受動名詞の違いは何か。
 
 例えばここにセーターがあるとする。
 引っ張って袖を伸ばした場合、これは長くされたものであり、長くするという動詞filないしfilemから来ていることになる。
 動詞から来ているので受動名詞filolを使う。
 
 一方、例えばここにセーターが2枚あって、袖の長いのと短いのがあったとする。
 この場合、長いほうをfilenという。filolではない。
 これはnims filから来てfilenになっているためである。
 
 このように、受動名詞は動詞語義が生きており、形容名詞は形容詞語義が生きているという違いがある。
 なお形容詞の場合、受動名詞の頻度は少ない。つまりfilolの出番は少ない。
 
 ●擬古形容詞
 
 属格を名詞の前に置くと、擬古形容詞として使うことができる。
 これは古語の特徴を残した言い方で、文学的な表現や広告などに用いられる。
 日本語に訳す際は「~い」でなく「~き」とする。
 
 haren xelt 紅き月
 filen seer 長き沈黙
 
 ●動詞を名詞化する属格
 
 例としてfokenやhantenを挙げる。
 形容詞を名詞化する例と違い、意味が規則的に演繹できない。
 その語に合った適切な語義が名詞として付与されるほうが合理的だからである。
 
 foken
 [数学]和
 21:fok属格
 [語法]
 数学の和、差、積、商はそれぞれfoken, fiden, hanten, festenで、いずれも四則を属格化したもの。
 vi hant valの場合、hantは接続詞で、viがかけられる数で、valがかける数。ket xa hal elenの場合、上つまりhalになっているのはelenでなくket。ket halen elenでも同様。このようにアルカでは格詞や接続詞の意味はその格詞や接続詞の目的語でないほうにかかる。そのため、valでなくviが「かけられる数」になる。逆に取りやすいので注意。
 viがhantolでvalがhantanになる。その結果の積はhantan, hantolを使用しているのでどちらも使えず、属格のhantenで示されるようになった。動詞にかかる属格なので「~の」という意味はなく、意味を変化させつつ名詞化している。そしてこの属格の用法は和、差、商などにも及ぶ。
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