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母音の頻度から分かる自然性
人工言語をアプリオリで作った場合、単語を機械的に作るか作らないかに大別できる。 ライプニッツのように作ると、機械的になる。逆にアルカは前者だ。 アルカの場合、古アルカから脈々とオリジナルの自然言語と錯覚するような語彙を作ってきた。 ――ということを裏打ちする言語学的なデータを見つけた。 母音で最も多いのはa,i,u,e,oの5母音体系だが、母音は均等な頻度では現れない。 松本克己『世界言語への視座』を読んでいたら、さまざまな言語を検証した結果、母音の頻度の平均値が出ていた。 表の通り、自然言語の場合、母音はa,e,i,o,uの頻度で現れる。(あくまで平均値の話だが) これを見て気付いたのだが、アルカもこの順序で現れる。 制アルカの時代にセレンが予想したのはa,i,o,e,uだったが、実際にはa,e,i,o,uになっているという話はかつてしたと思う。 なぜだか不思議だったのだが、この表を見て納得した。 アポステリオリだともちろんこの序列になるだろう。 逆にアプリオリだと、ライプニッツ式だとこの序列にならない可能性が高い。 アプリオリでも自然言語風に作っていけば、この序列になる可能性が高い。 制アルカにはn対があったので、katがあればkitもあるから、n対は母音の比率に影響しない。 周知の通り、新生はn対がなくなり、なくなった分を古アルカから復元した。 ということは、新生の母音の序列は古アルカを踏襲していることになり、古アルカから既にこの母音の比率があったことになる。 すなわち、古アルカのころから自然言語のように使える人工言語を作っていた痕跡が伺える。 何が言いたいのかというと、我々がアプリオリで自然言語風な言語を古い時代から作っていたことが、紙資料などではなく言語そのものから内省的に推測できるという点だ。言語で考古学とでも言おうものか。 つまり、その人工言語が歴史を有していれば、自然言語の分析と同じく、言語そのものからも言語史は分かるのではないかということを述べたかった。