beril
[形容詞]低俗な、卑しい、賤しい、賎しい、いやしい、俗悪な、俗物な、卑俗な
[反意語]tran
[レベル]
20:bern:19:ridia:arbaxelt:be/tran
[文化]
→antel
・セレンの価値観

セレンは高尚なものも低俗なものも好きだ。
だが学問などの高尚なものが娯楽などの低俗なものより優先されない社会は知的水準が下がり、最終的には国力低下を招くため、あってはならないと考えている。
ところが現代日本ではこの当たり前の考えが驚くほど受け入れられないということを身をもって何度も何度も経験しては苦渋を舐めてきた。さらにそういう連中が本来上なはずの東大生や医者を含むという驚愕の事実を経験して、あぁこの国は滅ぶんだなと実感した。
だからこそリディアと協議して「アルバザードだけは絶対に滅ぼしてはいけない、最強の国を維持しなければならず、それを実現するための社会づくりをしよう」という考えになっていった。

・革命でセレンが求めたもの

セレンは低俗なものを制限し、国民の民度を高めた。このことからしばしばセレンは低俗なものが嫌いと邪推されるが、それは誤解である。
セレンはアニメやマンガやバラエティ番組など、低俗なものは娯楽としてむしろ好んでいた。また、アニメなどに関してはひとつの文化であるとすら評していた。
ただ問題はそういった低俗なものが高尚なものを凌いでしまうということであった。ふだん高尚な学問や芸術をしている人間が息抜き程度に低俗なを娯楽を楽しむという程度なら問題ないし、むしろ精神衛生上良い。だが、遊びが勉強を上回ってしまうというのは良くない。
低俗なものばかりが売れて、娯楽品を売る会社が綺麗な大きいビルを建て、その一方で辞書や学術書などを売る出版社の社屋がボロ屋だというようなことがあっては、その国は早晩滅ぶとセレンは考えた。実際2013年現在の日本がそうで、この国が滅ぶことが良い証左であろう。
セレンは低俗なものは多様性及び娯楽の確保として抹消されるべきでないとした上で、しかし低俗なものが高尚なものより優先され流布され受け入れられ儲かるという構図は国民の民度や知性を貶めるとして制限すべきだと考えた。
革命ではこうした娯楽品に高率の情報税をかけ、更に出版社側に回る儲けの割合も減らすことにした。同時にマスコミを使い、娯楽は息抜き程度にやるものであって、それに溺れるような人間は恥ずかしいという価値観を植えつけた。
革命まではセレンの考えは一部の高学歴な人間によって自然と実施されていたが、中流下流では実施されていなかったため、国民全体としての民度や知性は年々だだ下がりだった。セレンの革命により、ようやくアルバザード人の民度と知性は上昇に転じた。
革命により娯楽品は儲けが少なくなったため、当然のことながら現在の日本の学術書のように鳴りを潜めざるをえなくなった。出版点数は減り、全体的な売り上げも減少した。その代わりマスコミを使った洗脳によりより学究的な出版物の売り上げが反比例して増えたため、経済全体を低迷させるような事態は招かなかった。
むろん低俗な国民がすぐに高尚なものに慣れるわけではない。多くの人間はできるだけ勉強をしたくないのだ。そこで爆発的に数を増やしてきたのが、娯楽書の要素を取り入れた簡便な学術書であった。例えば地球でいう「はじめてのアルカ」や『言語学少女とバベルの塔』のような、学問的な内容だけれども、アプローチは娯楽的で入りやすいといった作風が爆発的に増えた。セレンの革命により、学問を楽しもうという風潮が高まり、それまでお固い難解な文字の羅列であった学術書の業界が娯楽要素を取り入れることで、より分かりやすくよりとっつきやすい内容に変化し、一般受けするようになっていった。
要するに高尚なものは低俗なものに門戸を開き、低俗なものは高尚なものに擦り寄ったというわけであり、その結果、両者が融合してグレーゾーンであった『言語学少女とバベルの塔』のような一般人向けの学術書といった作品が増えた。
もちろん既存の娯楽品も、既存の難解な学術書もそのまま残ってはいるが、全体数は減った。代わりに増えたのがこのグレーゾーンである。全体としての出版業界の売り上げは大して変わっていない。
革命がもたらしたものは、民度と知性の総中流化であるといえよう。革命は経済的にも総中流化をもたらしたが、民度や知性においても総中流化をもたらし、広がっていた格差を是正した。

現実のセレンが思うに、昭和の日本が強かった頃は概ねこんな感じだったように思う。もっと一般人も今より教養があったように思える。自分の親の世代と今の子供たちの親の世代を比べると、無教養な人間が増えたように感じることが多い。
新聞を読む人口も減ったし、教育的なテレビ番組も減ったし、文学を読む機会も減ったし、漢字の識字率も年々悪くなっている。今の子供にいたってはゆとり教育の残滓もあるのだろうが、フランスや韓国の位置はおろかユーラシア大陸すら知らないという者が平気でいる。全体的に勉強の話をしなくなったし、興味を持たなくなったし、知性が下がっているように感じることが多い。同時に低俗な娯楽品は昭和に比べて圧倒的に増えている印象を受ける。マンガやラノベやアニメの出版点数を上げるまでもなく――である。
逆にネットなどのおかげで教養がある人は個人でも学会員に対抗できるほどの知識を持った人がおり、経済だけでなく知性や民度まで格差が広がっているなぁと感じることが多い。つまりできない人は昔よりできなくなっており、できる人は昔以上にできるようになって、昭和に比べて平成は格差が広がっているのである。大学全入時代と呼ばれる現在においてですらこの体たらくである。
セレンとしては格差があまりに広がった社会は良くないと考えているので、経済においても民度においても知性においても、あまりあからさまな格差社会は良くないと考えている。その結果がこのカルディアにおける革命である。

・革命と低俗

もしアルバザードを日本と同じように滅ばせたいのなら、日本と同じシステムにしただろう。だがアルバザードは世界一の強国である。しかもアメリカのような新参と違い、長年に渡って一位を維持してきた。
アルバザードが首位を維持できたのは学問や研究を疎かにせず、高尚なものに注力してきたからである。革命家の力が弱まるとすぐ人間の弱い心が易きに流れて低俗なものが流行るが、そのたび革命家が現れ、低俗>高尚だった世の中を高尚>低俗に戻してきた。
その結果アルバザードは高い技術力等を誇り、他国に対して常に優位な立場にいることができた。もし革命家が現れなければ、ローマ→フランス→イギリス→アメリカと首位が渡っていったように、アルバザードも一位から転落していたことだろう。
地球には魔導師の革命家がいないのでカルディアの革命はできないが、カルディアには魔法があるのでできる。だから地球の見方で「その革命はしくじる」と評するのは適切でない。
【用例】
rsiila alxa yuki xaf les nos yuki xir kon xiv kai aata. el pras fal berilen kont kaax berilen et berilen. 支配者たるもの拒むところは声を大にして拒まねばならない。低俗なものは低俗なものと認めた上で対処しなければならない。

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