国教の有無
21世紀研究会編(2000)によると、キリスト教とイスラム教だけで20億以上の人口がいるとのことである。これに仏教などを加えれば相当な数に上ることになる。
しかし国教を定めている国は世界中でほんの二割強しかない。参考文献の出版時において、意外なことにユダヤ人国家のイスラエルはユダヤ教を国教として定めていないし、インドネシア国民の9割はイスラム教徒だが、インドネシアはイスラム教を国教としていない。ヨーロッパはキリスト教が広まっているが、カトリックはバチカンとマルタを除いてキリスト教を国教としていない。これも意外である。
これは政教分離などとも関連があるようで、スペインの95%はカトリックだが、1978年の新憲法以来、政教分離を謳っているため、国教とならないのではないかと考えられる。
人工世界を制作する際、宗教も制作することになるが、その人工世界内の特定の国に特定の宗教があり、それが普及していたとしても、それが国教となるかはまた別の問題である。
地球の事情を見れば分かるとおり、民族紛争や政教分離など様々な理由から国教を定めないこともありえる。宗教を制作し普及させたとしても、それをすぐ国教とするのは早計だということである。
日本人は宗教に疎いところがあるので、ヨーロッパならキリスト教が国教でアラブ圏ならイスラム教が国教なのではないかと安易に考えてしまうのではないか。現実にはそのようなことはないので、民族紛争や政教分離など諸条件を考慮した上で国教を定めるのが現実的といえる。
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