リアルファンタジー小説『アルディア』

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2012年11月15日  セレンは出版した自著をコミカライズするため、出版社に持ち込みをかけていた。  どの編集者も現代魔法学に関するセレンの見識の深さには驚いていた。  しかしどこも商業化はできないと判断した。  そんな中、コンセプトと理論の出来は認めるため、半年ほど商業化の可否を判断するために待ってほしいと言ってくれるところがあった。  セレンはどちらかというと自身の著作物を認めてもらったことのほうが嬉しく、それだけで十分幸せな気持ちになった。  ちょうどその日今年度のエヴァンジュランが解禁となり、貧乏学者のセレンはお祝い代わりに買って帰った。  メルは「売れないけど高尚なお兄ちゃんのほうがお兄ちゃんらしくて素敵だけど、お兄ちゃんの業績が人に認められたのは嬉しい」と言って喜んだ。  その日は慎ましやかに祝いをし、エヴァンジュランを二人で一本空けた。  メルは酒豪だが、この日は気分がよく、「気持よく酔った」と言って陽気になっていた。  セレンも心地よく酔い、二人で床の上で転がってはしゃいだ。  気分が良いので二人は気持ちよく酔い、そのまま抱き合って眠った。  久々に幸せな一日だった。ボロアパートが愛おしく思えた。 2012年11月15日  今日はサプリの村で採れたブドウを使って作ったエヴァンジュランの解禁日だ。  エヴァンジュランはブドウを踏んで作る。ブドウを踏むのは村の少女の役割だ。  ブドウは清純な処女のみに踏む資格があり、リディアを始めとする村の少女たちが参加していた。  リディアは天真爛漫な表情で笑い、楽しそうにブドウを踏んでいた。  そんなブドウ踏みがあり、ようやく出来上がったワインがエヴァンジュランだ。  この日、サプリの村は子供にもエヴァンジュランを振舞った。  リーザとセレンはリディアの家に呼ばれていた。  夕飯にナルムはエヴァンジュランを振舞った。  赤ワインをグラスに4杯飲んでもセレンは平気な顔をしていた。 「セレン君はお酒に強いのね」  リーザが感心したように言った。 「少し気分が良いです。でも酔いはしないみたいです」  リディアもワインを飲んだ。グラス半分。  これが良くなかった。  リディアは真っ赤な顔になり、キャッキャとはしゃぎだした。  そしてセレンの首に両腕を巻き付け、服をはだけさせ、普段からは想像もつかないテンションで絡んできた。  リーザは驚き、ナルムも目を点にしてリディアを見つめた。  リディアは上機嫌でセレンに絡み、セレンは困った顔でリディアの相手をしていた。  リディアはずっと「あはははは!」と笑い、半裸になりながらセレンに抱きついていた。  セレンは赤い顔でリディアの対応に追われて困っていた。


 原文

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