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人工言語の作り方

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初級編

序文

人工言語とは

言語の作り方

応用編

続・人工言語

人工言語Q&A

高度な作り方

回顧録

付録

読書案内

人工言語学研究会

英語の一人勝ちは不公平だけど人工言語なら平等では?

国際補助語を作る動機のひとつに、こういった考えがあります。
英語を国際語にしてしまうと、非英語圏の人間にとって不利で、不平等です。
自然言語を国際語にすると必ず不平等が生まれます。ならば人工言語を国際語にすればいい、と考える人がいます。

しかし言語というのは自然・人工を問わず、必ず文化と風土から影響を受けます。
人工言語も特定の文化や風土を背景にしなければ作ることができません。
そうなるとその文化圏に属さない人間にとって不利になり、不平等です。

例えば牡牛と雌牛を単語レベルで区別するのは牧畜文化が背景にあります。
米と稲を区別するのは農耕文化が背景にあります。
全地域がこれらの文化圏に属するわけではないので、どのような人工言語を作ったところで、必ず不平等は生まれます。

ならば言語だけ人工言語にして、あとは各民族の文化や風土に合わせて言語を使えばいい――と考える人がいます。
その場合、相手がどこの文化圏の出身か踏まえた上で話をしないと誤解を招きます。
こちらは稲のつもりで言ったのに米のつもりで受け取られたとか、雌牛のつもりだったのに総称して牛で受け取られたといった誤解が生まれます。

また、狼は日本では孤高などの象徴ですが、西洋では一般的に悪者です。
この象徴も文化から来ており、民族ごとに異なります。
日本人話者が「彼は一匹狼だね」と言ったとき、素直に西洋人は喜んでくれるでしょうか。恐らくNoでしょう。

言語だけひとつにまとめて後は個々の文化や風土を反映して良いとしてしまうと、このような誤解を生む恐れがあり、円滑なコミュニケーションは期待できません。
これでは自分の言いたいことがきちんと伝わらないので、結局相手か自分の文化を前提に言語を使用するようになります。
その前提となった文化が西洋のものなら我々には言語の運用が不利になりますし、逆もまた然りです。
従って、人工言語なら平等な国際語が作れるというのは誤りです。

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