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人工言語の作り方

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最小対語

最小対語:hatとcatのように、1音違えば別の単語になってしまうペアのこと。

最小対語については常に聞き間違えの可能性がありますが、聞き間違えの確率は音によって異なります。
palとbalは聞き間違いやすいですが、palとnalはそれほどでもありません。pとnは調音点と調音法が異なるためです。
母音についても、舌の位置や唇の形が近いもの同士は聞き間違えやすいです。

ときに、音にはソノリティというものがあります。これは聞き取りやすさの度合いを示したものです。
母音のほうが子音よりソノリティが高いです。子音でもlやmのほうがpやsよりソノリティが高いです。
従ってpalとnalのほうが、palとbalより聞き分けやすいといえます。
つまり最小対語を気にする際は、特にソノリティの低い音に注意しましょうということです。

ところで、言語には母音率という概念があります。フィンランド語や日本語は母音の頻度が大きい言語です。
母音率の高い言語はそうでない言語に比べ、子音の聞き分けに弱い傾向があります。実際に、日本人が英語の聞き取りで苦手とするのは母音より子音です。
貴方の作る人工言語が母音率の高い言語であれば、特に子音部分だけが異なるpalとbalのような最小対語に注意しましょう。

ちなみに、最小対語であっても出てくる文脈が全く異なれば、あまり気にしなくても良いです。
salが「リーダー」という名詞でzalが「奇妙な」という形容詞の場合、まず混同することはありません。
もしsalが「男」でzalが「女」だと、出てくる文脈が同じになる可能性が高いので、混同しやすくなります。
最小対語を見るときは、語義にも注意しましょう。

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