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人工言語の作り方

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言語の作り方

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付録

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人工言語学研究会

音について

●音素

さて、ではこれから言語を作っていきましょう。
まずは音素を選びましょう。pとかtとかaとか、自分の言語にどんな音を使うのかを選ぶのです。

文字や文法から作る人もいますが、音から作るとやりやすいです。
表音文字(アルファベットなど)を使う場合、音が決まらないと単語が作れません。
表意文字(漢字など)の場合、音が決まらないと文字に名前を付けられず、文字リストの管理が難しくなります。
どの文字を使うにせよ音が必要になります。従ってまずは音素から選びましょう。

音素の選択ですが、まず子音と母音に分けるべきでしょう。
一般的に、子音のほうが母音より多いです。また、音素数は20前後が一般的です。
ロトカス語のように音素が非常に少ない言語は一見学習しやすそうなイメージがありますが、こういう言語は単語が長くになりがちで、実用には不向きです。
なお、中国語のような声調言語の場合、音素数は一般に少なくなります。

ではどの音素を選ぶかですが、人間がよく使う音素を選ぶといいでしょう。
例えばp, t, kという音はよく使われる音です。逆に日本語のラ行とか、入破音といわれる音は頻度が少ないです。
入破音が存在するのにp, t, kがない言語はありません。
実用的な言語を目指すなら、あえて入破音を取ってpを捨てるような行為は避けるべきです。

母音は5つが一番多いパターンですから、5が無難でしょう。アイウエオでOKです。
細かいことをいうと、同じ「ア」でもアメリカ人の発音する「ア」は日本人と違っています。
なので、最終的にはきちんと自言語の音声学を作って、音声の定義をする必要があります。

●アクセント

アクセントには自由と固定の2種類があります。
常に最初の音節にアクセントが来るフィンランド語は固定アクセントです。 一方、「箸」と「橋」の違いがある日本語は自由アクセントに分類されます。

固定と自由のどちらにも利点があります。固定は覚えやすい――というか覚える必要がない。その反面、同音異義語に弱いです。
自由はその逆です。日本語は橋と箸をアクセントで区別できます。固定アクセントのフィンランド語にはできない芸当です。
したがって、アクセントはどちらを選んでも良いでしょう。

なお自由アクセントの場合、アクセントを表記することができます。
アクセントを表記すれば読むときは楽で同音異義語も区別できますが、書くときは面倒です。
ちなみにアクセントを文字の上に付ける場合、フランス語のdéjà-vu(既視感)のように字上符付きのフォントを作らなくてはならず、入力も厄介になります。

●イントネーション

イントネーションについては文中・文末などによっても異なりますが、初期の段階ではあまり細かく決めないでいいです。
アクセントや声調と違い、イントネーションは言語そのもののシステムではなく、言語の運用時に関することが多いためです。

●声調

声調はあってもなくてもいいです。声調の長所は少ない音節数を最大限活かせることです。
声調があると少ない音素数で済むため、よく使われる音だけを使えばよくなります。その結果、音素の聞き取りが楽になります。
短所は、音節数が少なくなりがちで外来語の音訳時に苦労することです。試しに中国語で「コカコーラ」を何というか調べてみてください。
また、声調は音の高低が重要になるので、高低をはっきり付けるために省エネ発話を断念させられます。これも短所の一つです。

●音節構造

音節構造はCV(C=子音、V=母音)だと単純なのですが、音節数が少なくなってしまいます。日本語がそうですね。
CVしか音節がないと同音異義語が増えたり語形が長くなったりします。

ただし声調言語の場合、声調を使って同音異義語を区別できるので、音節構造が単純でも構いません。
Cが20種でVが5種だとすると、CVの音節数は単純計算で100しかありません。
しかし声調が4種あればこれだけでも400の音節数を獲得できます。

一方、CVCだと同条件下で20×5×20とすると、計2000の音節数を獲得できます。
2000の音節数が獲得できれば2000語をCVCだけで弁別できます。
2000語あれば基本語としては十分ですので、CVCという音節構造は効率的といえるでしょう。

よって、音節構造はCVだけでなく、CVCくらいは認めておいたほうが無難でしょう。
もちろんCVCVのようにCVの繰り返しでも構いません。

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