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3年目案内
サプリの村で教師をしているリーザの元で暮らすセレンは、徐々にサプリの村での生活に慣れ、アルバザード語にも慣れていった。
「将来は何がしたいですか」とリーザに尋ねられたセレンは「異世界に行って剣と魔法を使って敵と戦ってヒロインと結婚して英雄になることです」と答えた。
しかしそんな彼の願いとは裏腹に、今日もサプリの村には平和が訪れていた。
リディアはセレンを友人として受け入れ、最初はケンカしていたオヴィも徐々に打ち解けていった。
その400年後、転生したセレンは世間から冷遇され嘲笑され拒絶され、世の中に実力も功績も認められないみじめな生活を送っていた。
現代魔法学の第一人者として小さな世界を牽引するも世間的に見れば全く認知されていない分野で、どれだけ頑張ろうと民衆から無視され軽んじられていた。
その上狭い現代魔法学の世界の中でさえも、セレンの業績に嫉妬する痴れ者やセレンの偉業を理解できない愚か者の存在のせいで心が疲弊し、厚顔無恥な連中に呆れ果てていた。
セレンは崩れゆくユティア朝と腐りゆく政府を見据えながら、世の中の間違いを正さねばならないと妻のメルに語り続けた。
だが自分には世界を変えるような力はないと分かっていたし、現代魔法学という誰も見向きもしないただ高尚なだけの売れない研究に勤しんで、小さな世界の歴史を少しだけ動かして死んでいくものだろうと諦めていた。
諦めながらもセレンは不条理な世界と愚かな民衆と汚い支配者を拒絶し、同時に世界を変えられない自分の無力さを呪った。
メルは包み込むような優しさでそんなセレンの理解者となり、彼を愛した。
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