ランジュ – 2013年5月14日

※nias注:旧版からの移植記事です。

2013年5月14日

 イシュタルが無表情でアニメを見ていた。
 セレンはレイゼンを覗きこむ。
「面白いの、これ?」
「セレン兄様……。そうですね、今季の注目作みたいです。現代魔法学が出てきます」
「ふぅ……ん」
 セレンは眉をひそめた。イシュタルは悟ったような顔でレイゼンを消した。

「兄様、お暇があるなら私とお話でもしましょう」
 それはセレンを気遣ってのことだった。
 アニメなどサブカルにはたまに現代魔法学が登場することがある。
 セレンが現代魔法学のノウハウをネットで公開してからというもの、その数は年々増えている。恐らくセレンの影響がそれなりにあるのだろう。
 ただ問題は、サブカルの中で使われる現代魔法学理論が娯楽仕様のなんちゃってご都合主義設定でしかないということだ。
 しっかり理論立てて研究して作ってあるセレンの理論は世間から見向きもされない。見向きされるのは娯楽性のあるなんちゃって魔法学だけ。ちゃんとしたセレンの理論は採用されない。
 それでセレンは世の中を怨んでいる。そのことは孤児院のみんなが知っていた。

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