2013年6月28日
セレンは車でエスタのアパートに来ていた。
懐にはナイフを2本差してある。
彼女は子供を学校に送ってから駅に向かう。
8時6分に彼女が子供を連れて出てきた。
「これが人生のターニングポイントだ」という声がした。
父母を失ったら息子はどうなる?息子のためにも生きるべきか?
――何万回も考えたことだ。
車を出て行く。
彼女は右手で子供の左手を繋いで歩いていた。
最後の最後まで迷い……斬った。
息子はこちらに気付くと、母親を見捨てて驚いた顔で走り去った。
せめて最後に一度抱いてやりたかったが、向こうはそれを望むまい。
車に戻って走らせる。
調べておいた線路に向かう。電車に飛び出せば確実に死ねる。
しかし高架下にパトカーがいて、予定地が使えない。別の線路を探して走る。
だが土地勘がないしナビにも線路がない。
予定を変えて、もう一本のナイフで死ぬことにした。
人気のないところを見つけて刺さないと搬送されて助かってしまう。
車を流す。
パトカーがサイレンを鳴らして走る。もう第一報が入ったか。
小道を見つけ、人気のないところで停まる。