2014年1月23日
懲役30年でヴェナカルカへ。
誰一人として出て行った後の仕打ちに関しては彼女も悪かったと認めず、誰もこちらの悔しさを理解しなかった。
むしろ苦しんだ8年に関し、長々と逆恨みして異常と言われ、罪が重くなった。
世間の無理解が許せない。
しかしここは酷い。熱いし寒い。医療も。特に歯は痛くても何ヶ月も待って抜くだけ。体は痛いし同室からの虐めはあるしカルカンも人間扱いしてこない。何かあっても病死と片付けられそうで不安になる。
こんなところで30年。今すぐ殺してくれ。苦しめて生かされる。
今日はメルと付き合った日だ。
裁判にはネットユーザーしか来なかった。手紙も面会もない。見限られたのだろう。
夜、痛みに耐えていたら、面会だと言われた。
こんな時間にありえないと思って面会室に行くと、ドアの向こうからリーザが入ってきた。
「先生!?」
「久しぶりね」
「どうしてここが?どこにいるかは調べられないはず……」
「まぁ、ね。じゃ、帰りましょうか」
「帰る……?」
「あなたの事件は世間の耳目を引いたから、すぐには出せなかったのよ」
「出す?」
「そ、このまま幻京橋へ戻るわよ。あ、帰りは運転してね」
思わず立ち会いのカルカンを見る。苦々しそうな顔をしている。
「え……だって僕、懲役30年ですよ?」
「あなたは特別なのよ。せいぜい8ヶ月もいれば十分」