※nias注:旧版からの移植記事です。
2012年2月22日
「曲を作ったんだ」
セレンはアンセで曲を再生する。さびしい歌だった。メルは何度か小さく頷いた。
「10年くらい前も曲を作ったよね?」
「あのころから現代魔法学の研究が盛んになったから、曲は諦めてしまった。三十路の手習いだよ」
「いいんじゃないの。うまくはないけど、私は好きだよ。お兄ちゃんの心が聴こえるようで」
「そうか」セレンは満足気に頷いた。「ならいいんだ。報われる」