ランジュ – 2012年11月15日

※nias注:旧版からの移植記事です。

2012年11月15日

セレンは出版した自著をコミカライズするため、出版社に持ち込みをかけていた。
どの編集者も現代魔法学に関するセレンの見識の深さには驚いていた。
しかしどこも商業化はできないと判断した。

そんな中、コンセプトと理論の出来は認めるため、半年ほど商業化の可否を判断するために待ってほしいと言ってくれるところがあった。
セレンはどちらかというと自身の著作物を認めてもらったことのほうが嬉しく、それだけで十分幸せな気持ちになった。

ちょうどその日今年度のエヴァンジュランが解禁となり、貧乏学者のセレンはお祝い代わりに買って帰った。
メルは「売れないけど高尚なお兄ちゃんのほうがお兄ちゃんらしくて素敵だけど、お兄ちゃんの業績が人に認められたのは嬉しい」と言って喜んだ。

その日は慎ましやかに祝いをし、エヴァンジュランを二人で一本空けた。
メルは酒豪だが、この日は気分がよく、「気持よく酔った」と言って陽気になっていた。
セレンも心地よく酔い、二人で床の上で転がってはしゃいだ。

気分が良いので二人は気持ちよく酔い、そのまま抱き合って眠った。
久々に幸せな一日だった。ボロアパートが愛おしく思えた。

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