※nias注:旧版からの移植記事です。
2013年3月5日
今日はユーマの日で休みだ。
セレンは孤児院に来ていた。イシュタルが図書館に本を返しに行くと言って出て行ったが、肝心の本を玄関に忘れていったのに気付いた。
本を取ってイシュタルを追いかけようとしたセレンだったが、そのときちょうどコノハが玄関に出てきた。
「あれ、セレンさん、どうしたんですか?」
「あぁ、イシュタルがこれを忘れちゃって」
「じゃあ私が届けてきますっ!」
セレンは一抹の不安を感じながらも本を手渡した。
コノハはにこにこしながら外に出た。雨が降っていたので傘を差して外に出る。門のところにいるイシュタルに声をかけ、近寄っていく。
「イシュタルさん、本、忘れてます~」
明るい声をかけた瞬間、イシュタルは眉をひそめた。「あ……コノハ、気をつけて」
ところが案の定コノハはずっこけ、本は水たまりの中に勢い良くダイブした。
「きゃーっ!? イシュタルさんの本がっ!?」
慌てるコノハ。セレンとイシュタルは「やっぱりな……」と言いながら額に手を当てる。
本を拾うイシュタル。
「ごごご、ごめんなさい。私のせいで……!」あたふたするコノハ。
「いや、もう慣れた。図書館には私から謝っておく」
「そんなのダメです! 私も一緒に謝りにいきます!」
コノハはイシュタルの腕を取って懇願した。イシュタルは苦笑しながら「分かった」と言って二人は去っていった。
セレンがため息をついて玄関を閉めると、後ろにフェアリスがいた。
「なんだい、またコノハのやつ、やっちまったの?」
「あぁ。まったく、あいつは人助けが趣味なのにすべてが裏目に出ちまうからなぁ」
そう、コノハはそういう子だったのだ。