kardinalのカーニングについて、及びりっちゃんの姓

8/5記

Ritchanさんの質問:

幻字フォントkardinalで特定の文字の並び(txとかktとかの組み合わせ)で線がくっつきかけているのは意図的なのか、質問していただけませんか…(しばらくの謎でしたので)

tkでつながるのは私も気になってましたが、そこを広げると他の字と組み合わせたときに隙間が広く感じるのでこうしました。
カーニング?でしたっけ?なんかそういうのできればいいんですが。

というかついった見ててりっちゃんってピネナ君に似てるなと思っていたので、ciaoというrastがあるようですが、valoetとかいうrastどうかなと思っていました。色々作品作ってらっしゃるし。

『紫苑の書』『夢織』pdf単語リンク修正

nias記

アルカ公式の閉鎖により『紫苑の書』『夢織』pdfの単語リンクが切れていた問題で、
リンクの修正により俗幻を引けるように対応いたしました。
pdfをご利用の方は下記ページよりご確認ください。

thanks to: Ʀɨʈƈђąɲ

書籍版『幻日辞典』 web版をアップロードしました。

nias記

http://conlang.echo.jp/books.html

書籍版『幻日辞典』(通称・紙幻日)のweb版をアップロードしました。
出版社に入稿した原稿ファイルそのままで、B5変型(182mm*234mm)640頁になります。
変なサイズなので印刷する際は十分注意してください。
追記:印刷用のA4版pdfを追加しました。収録は辞書部分のみで、281頁です。

同時に書籍ページやトップページの連絡先等を整理しました。

※紙幻日とは。
2014/5/21発行。
内容は2013/5/21時点の幻日辞典19130項目+書籍未収録のアルカ論、人工言語学研究会論文など。
目的は人工言語アルカの保存であり、seren arbazardの希望により実現した。

ランジュ – 2014年3月8日 3/n

「あのね、お兄ちゃん、率直に言っていい?」
「なんだ?」
「お兄ちゃんてさ、いつも極端なのよ。もっと現実的な革命案にしないとゆくゆく自分でもこんなはずじゃなかったって思うようになるよ」
「じゃあどうしろと?」

「レナスルシアは全員に付けたら電波ジャックで簡単に国家機密が筒抜けよ。要は被害者を守ればいいのだから、希望者にだけ取り付ければいいじゃないの。いじめられっ子とか囚人とかさ」
「あ、そうか……」
きょとんとしてセレンは頷いた。
「それに、首輪とヘアバンドってやっぱり人に受け入れられないと思うよ。もう少しお兄ちゃんは自分の意見を人に理解されやすいやり方にした方がいいと思う」
「ん……」
「首じゃなくて頭に巻けばヘアバンドもいらないよね?」
「鉢巻か!」
「だからセンス!!」
「……すまん」
「サークレットよ、サークレット型にすればおしゃれでしょ。女用は可愛いので、男用はスタイリッシュなやつ」
「おぉ、ファンタジーぽくていいな、それ。オンゲの世界みたいだ。カメラは前後左右で4つか?」
「ユイムのストリートビューみたいに1つをサークレットの中で循環させればいいと思うよ」
「なるほど、holをmesにするということか。サークレット内にアトエをかけてカメラを管内で回転させるようにすればカメラは1つで済むな、うん」

「それとな、革命では完全なる男女平等を目指そうと思う。というか男女というセックスの概念をなくしてジェンダーのみを出そうと思う。例えば男より力の強い女もいるけれど、そういうのは戦争に行けばいいし、女より家事に向いてる男は主夫をすればいいんだ。就職も受付は女を雇って男は力仕事とかそういうのは違法にする。男で受付してもいいし、女は力仕事をしてもいい」
「出産はどうするの?子育ては?」
「子育ては夫婦で協力すればいい。向いてるほうが主に育てればいい。出産なんだが、ポッド内で成長させて誕生させればいいさ。技術的には可能だろ」

「女は子を産まなくなるってこと?」
「妊娠期間がなければ産休で企業から邪魔がられなくなるだろ」
「お腹を痛めた子だからこそ愛情を持てるんじゃないの?」
「そこがもう男女差別なんだよ。男はどう頑張ったってその痛みを得られないだろ。女だけずるいってことになる。そもそも痛めてないから可愛くないなら父親の存在ってなんなんだよって話になるだろ」
「なるほど……」

「服だって言葉遣いだってセックスでなくジェンダーで選ぶべきなんだよ。恋愛だって男同士、女同士でもOKとする」
「同性愛の場合、子供はどうするの?」
「今はもう男同士とか女同士のDNAを取って代理母とか使って、あるいはポッド内で子供を作れるだろ。例えばお前とリディアちゃんのDNAで子供を作ることもできるわけだ」
「な……なんか気持ち悪い想像ね」
「そうか?俺的にはアシェットのメルとクミールの子供とかリディアとルシアの子供とか考えてみると結構楽しいけどな」
「ふむ……それは面白いかもしれないね」
メルは顎に手を当てて首を傾げた。
「それとソルフェージュを第三のジェンダーとする。ユルトのようなな」

ランジュ – 2014年3月8日 2/n

「うーん……」メルは眉をひそめる。「ユマナのルシアやユルトってさ、悪人は全て殺してしまえと思うような人間なのかな?
「どうだろう。そういう子ではないんじゃないかな。ただ悪を許せないというだけで」
「なら更正の機会を与えてもいいんじゃない?少しのあやまちでいちいち死刑にしてたら殆どの人にとってディストピアなんじゃないかと」
「そうか……。じゃあユカスカもカルカも残す感じか」
「そうなるね」

「なら待遇を改善しないとな。外と同じだけの生活水準にし、医療も手厚く、人に合った仕事を与え、個室を与えて、温度管理もし、レナスルシアの音声映像配信システムでカルカンの横暴を阻止し、人権擁護を徹底する」
「それカルカの意味あるの?」
「カルカは更生と隔離の施設であって、人権侵害したり、人を痛めつけ苦しめる施設であってはならない。要するにルシアたちにとって悪人を自分たちから遠ざけておければそれでいいわけだし、特に人権意識の高いユルトにとっては悪人といえど苦しめるべからずという思いがあるから、それでいいと思うんだ。また、そこでの暮らしが嫌だというなら速やかに安楽死させてやる」

「死ぬ権利?」
「あぁ、人間には死ぬ権利、尊厳がある。自分の命を自分で決める権利がある。しかし自殺幇助は犯罪なので安楽死施設はない。結果自殺者は首吊りや飛び込みなど、苦しい死を選ばざるをえない。特に病苦で苦しんでいるような人間にとって安楽死が許されない現行法は悪くて仕方がない。革命では死ぬ権利を導入し、何人たりとも、たとえディレタンであっても自由に自分の命を左右できる権利を与える。人権は守らねばならないものだ」
「うん、じゃあその方向で」

「また、見えてないからといって人権侵害が行われすぎている。虐待やイジメは許されない。これらは犯罪として取り締まるべきだ。レナスルシアがあれば多くの犯罪を取り締まることができる。もうあの子たちが苦しむことはないんだ」
「お兄ちゃん?」メルはセレンの顔を覗き込む。「ユマナの記憶が混濁してる、今?」
「あ……」セレンは思わず額を押さえた。
「レナスルシアはプライバシーの問題とか国家機密等漏洩等の問題があるけど、犯罪や冤罪の撲滅には有効かもしれないね」
「やっぱりなぁ、弱いものが辛い思いをするような世の中は間違ってると思うんだよ。俺は死神から貰ったこの力で、優しい世界を作りたいんだ」
セレンは窓から遠くの景色を見ながら呟いた。

ランジュ – 2014年3月8日 1/n

2014年3月8日

風花院の一同は深夜0時にセレンに居間に呼び出されると、ひとりひとり手をかざされた。今のは何なのかと問うと、メジュテルを張ったという。
セレンはメルを連れ、車で北区へ向かう。孤児たちにはテレビを付けておくように言っておいた。
「どこ行くの、このドライブ」
車中でメルが問う。早い出発なので遠出の旅行と思っているようだ。

着いた先はカシュアルノ。セレンは車を降りる。
「俺が出れた理由、聞いたか?」
「ううん、先生たちも教えてくれないし」
「俺、オーディンのセレンが転生した姿なんだってさ」
眉をひそめるメルに、セレンは池での出来事を話した。
「それで、お兄ちゃんはアトラスを変えようと?」
「あぁ」
「つまり、ミロク革命……というか、セレン革命的な?」
「そうだ。そのため、力のないお前たちにメジュテルをかけておいた」

セレンが入口に近づくと当然止められたが、彼は制止を無視して入っていった。力づくで止めようとしてくるが、軽いアヴォンで吹き飛ばす。
建物の中に入った頃にはナインが駆けつけてきていた。
「マスコミも集まってきたようだな」
長官室の窓から外を見るセレン。
「速報が流れてるね」とレイゼンを出すメル。
すぐさまナインが突入し、戦闘になったが、紙の兵士も同然だった。

カシュアルノを攻略したセレンはマスコミにわざと見せつけるように車でなく飛行でヴァーンアルノに行った。
ヴァーンは総力を上げてきたが、これもまた彼の魔力には到底及ばなかった。

ヴァーンアルノも攻略したセレンは長官室にマスコミを引き入れ、夜8時に会見を開いた。
目的を問われたセレンはセレン革命を宣言し、惑星アトラスにおける人々のヤグの統一を始めとした理想郷を打ち立てると約束した。
メルがユミクルを見せてくる。
「あの女の件の事が出てる。お兄ちゃんがヴェナカルカを出ていたことは世間は知らなかったから驚いてるみたいね」
「おぉ、いつもの荒らしも出てるな。現代魔法学の連中も驚いてるようだ」

セレンはジェリオン宮へ向かう。
「革命の下地を築くため、アルバ王家と副王は廃止しようと思う」
ジェリオンの衛兵はもはや戦闘を仕掛けてこなかった。
王の間へ行くと、そこには意外な人物がいた。

「予想通りの時間ね、セレン君」
「先生……!?姉さんも……。どうして2人がここに?」
くすくす笑うリーザ。
「まだ気付かないの?私たちの正体」
「正体って……」
「本当にただの孤児院の院長だと思ってたのね。まぁ子供の頃からそう信じこませてきたから無理もないか」
「まさか……」メルが青い顔になる。「ルティアの姫の名が確か……」
「いや、でもリーザなんて名前どこにでも」
「それがそのまさかなんだな」
「ということはミーファ先生は……」
「うん、このアルバザードの副王アルテナの娘、ミーファよ」
「……本当なんですか?」
「じゃなきゃセレン君を出せないし、ここにもいられないでしょ。で、セレン君の目的は王家の廃止?」
「そのつもりだったんですが……」
「相手が私たちじゃ手を出せない?」
「まぁ……敵と思ってた体制が味方だったわけですし」
「そしたらどうする?革命は諦める?」
「いえ」セレンはきっぱり断った。「先生たちが王家や副王ならわざわざ潰す必要はありません。むしろ支えてください。自分は総統を名乗ります」

セレンは2度目の記者会見を開き、王室を残すことを宣言し、ユティア朝の終わりを告げ、総統として革命することを述べた。
記者からエスタの件のセレン=アルバザードではないかと聞かれ、肯った。
30年のディレタンがなぜ突如現れ、力を持って革命を引き起こそうとしているのか。ネットもリアルも騒然としている。
ディレタンの作る理想郷などディストピアにすぎないとの論調が飛び交う。
セレンの会見が終わるとミーファがアルテナとともに出てきて、ユティア朝の終わりを告げた。
続いてリーザが会見し、ルティアはアルバザードに降ることを宣言。

風花院に一旦戻ったセレンらは今後のことを話し合った。
セレンは部屋から一冊のノートを持ってきた。
「何これ?」
「セレンの書。事件後ずっと一人で書いてた。俺に力があれば世の中こうしてやるのにって思って書いておいたもので革命の案が記してある」

「お兄ちゃんは世界をどう変えたいわけ?」
「ヤグという主観的客観単位を制定しようと思う。苦痛を数値化したもので、健康な人ほど低い。この世はお金でも健康でも、持つものが得をして、楽をするんだよ。苦しんでいるほど持たざるもので損をする。不公平だよな。ただでさえ苦しいのに、そんな人が余計辛い思いをする。俺はさ、弱者に優しい社会を作りたいんだよ。持つものも持たざるものも同じ程度のヤグを。経済格差も是正したい。一握りの金持ちがこの世の富を独り占めして第三国の人間が苦しんでいる。そんなの許されるはずがない。国という境界を取り除き、アトラス単位でひとつの共同体としたい。石油資源など資源は中央政府が一括管理し、必要に応じた量を各地域――今でいう国――に分配する」

「それと、汚いこと、卑怯なこと、立場の強い人間が弱い人間を虐げること、動植物を虐待することもできるだけ阻止したい」
「どうやって?」
「lenasluxia」
「レナスルシア?それってお兄ちゃんが好きなバンドの名前でしょ。確かオーディンでセレンが作った2つ目のバンドの名前と同じにしたのよね。『かわいそうなルシア』は娘のルシアが苛められて塞ぎこんでいたのを見たセレンが可哀想になって歌を歌ってあげたのが始まりだったとか何とか。でランジュで同名のロックバンドができたのよね。『痛みの塔』とか名曲揃いで」
「”y”も良かったな。xionとxyonをかけてさ。あれは最高の歌詞だ」

「で、レナスルシアがどうしたの?」
「ルシアとユルトはさ、汚いことや弱者を虐げる世の中が許せなかったんだ。弱者が傷つかない世の中を俺は作りたいんだ。子供のために」
「オーディンの子供んために?」
「いや……もしかしたらユマナの」
「ユマナ?」
「……にも子供がいたんじゃないのかな。俺、向こうから来たらしいし、記憶が混濁してるのかも」

「具体的にはどうするの?」
「まずユカスカ、ユッカ、カルカから全て人を出す。旧体制での決定は一度白紙に戻す。カルカは廃止。ユカスカ、ユッカの待遇は外と同様にする。人権尊重が全くされないからな」
「カルカがないって、ディレタンはどうなるの?」
「有罪なら全て判決日に即座に安楽死させる」
「微罪でも?」
「ああ。今は犯罪ではないイジメなども取り締まる。立場の弱い人間や動植物を虐げるような行為も取り締まる」
「厳しすぎない?」
「と思うよ。でも人を食い物にする遺伝子が淘汰されていくうちに弱者を虐げない遺伝子だけが生き残り、いつか人類を精神的に遺伝子浄化できるようになるんだろうな。人がより高次の存在になれる気がする」
「それをディストピアと呼ぶ人は良いのでは?」
「かわいそうなルシアを虐げるような遺伝子にとってディストピアであろうと一向に構わない」

「冤罪どうするのよ。第一どう取り締まるの?」
「首輪の前後とヘアバンドにカメラを付け、全員に装着させる。1分1Mで現行の4G回線でリアルタイムに送信。電波塔を増やす必要があるが、電波資源は間に合う。アンセのGPSなどと合わせて防犯に使う。HDD資源も足りる」
「監視社会か。トイレやセックスまで当局が調べようとしたら筒抜けね。国家機密も電波の傍受で筒抜け。てか男がヘアバンドって……」

「人に見られてないからって悪いことする奴が多すぎるんだよな。カルカンだって人権無視で、病気を診せずに死なせても対応に問題はなかったとか言って病死で片付けるし、こっちが文句言えないのをいいことに虐げてくるし。この監視システム、レナスルシアがあればあんなことは起こらないのにって。悪を排除するためならプライバシーがどうのは目をつぶっても構わない」

「それはお兄ちゃんの理想郷?」
「いや、子供のためだな。心が綺麗で脆い彼女たちのための優しい世界。そこにふさわしくない人間はいらない。けど苦しめるのも悪だから速やかにウランセさせるわけだ」

ランジュ – 2014年2月4日

2014年2月4日

リーザに指示され、フェリシア大まで車を流した。夜の大学に来て何をしようというのか。
リーザはほたる池へ向かう。
欄干に手をかけ、暗い池を見る。かつて自分が拾われたこの朱塗りの橋の上で。

「……閉じ込められている間、どんな気持ちだった?」
「……自分の業績は面白おかしくニュースでネタにされ、世間からキチガイ呼ばわりされ、彼女に対する悔しさと苦悩をまったく理解されず、小さな世界の偉人から犯罪者へ。ただただ辛かったです。なぜ出れたんでしょう。使命があるとか言ってませんでしたっけ」
「そうよ。だから私は10歳だったあなたを拾って育てた。あなたは10歳の姿で転生した。30歳でユマナからセレスが来てあなたに入った。転生の完了ね」
「転生って……」
「あなたの正体はオーディンの英雄セレン=アルバザードの転生した姿」
「……というか、ランティスの転生って本当だったんですか……。転生はディミニオンを倒すためと今では言われているけど、そうだとしたらおかしい。だって僕には力がない」
「だからここに来たのよ。力を覚醒させるためにね」

リーザが水面を見ると光が起こり、水の上に男が現れた。
「久しぶり、死神ヴァンガルディ」
リーザが気安く呼ぶと男は空間から鎌を出して向けてくる。
「鼎を交わす意志はあるか」
契約を要求する死神。
「……力をくれるというのか?」
「ミロク=ユティアや神や悪魔やアシェットを超える力を授けよう」
「代償は?」
「苦痛。様々な病に苦しむ。死にたくても死ねない。文字通り生き地獄だ」
ぞくっとした。痛みを知っているものほどこの代償がどんなに大きいか分かる。
だがカルカにいたら何もなすことなく同じ苦痛を得ていたはずだ。

「その力は俺の好きに使っていいのか?」
「つまり?」
「この世界をディミニオンから守るだけでなく、この世界を革命するために使ってもいいのかということだ」
「変えたいのか、このアルバザード国を、あるいは惑星アトラスを」
「変えたいね、この世界カルディアを」
死神は「好きにするがいい」と答えた。
どのみち無意味に苦痛を味わうだけの人生だった。なら……。

セレンは死神の目を見た。「分かった。鼎を交わそう、ヴァンガルディ」
すると死神は鎌を薙ぎ、セレンは光りに包まれた。
直後に体全体や内臓が苦痛に苛まれ、それと同時に体中に言い知れない力を感じた。これが神々を凌駕する力か。

死神が去るとリーザが寄ってくる。
「大丈夫?」
「――ではないですが。あそこで無駄に生きるよりは何倍もマシですね。人生の意義があるのは何にせよ幸せなことです。そしてそれを叶える力があるというのも」
「これから忙しくなりそうね」
「先生が何者なのかも気になるところですが」
リーザはくすりと笑うと「風花院に戻りましょう」と言った。

ランジュ – 2014年1月23日 2/2

「あなたには使命があるんだから、こんな下らないところで下らないことしてる暇はないのよ」
別室へ連行され、リーザの差し入れたスーツを着る。
釈放だと言われた。それは気が遠くなるほど先の未来で聞くはずの言葉だった。

外に出る。

夜空だ。

あれから一度も見ることのなかった夜空だ。思わず涙が出る。
リーザが歩いてきた。
「やつれたわね、セレン君。もう大丈夫よ」
車まで案内される。
「運転はお願いね」
「あ、でも僕、事件のとき事故起こしてて免許が……」
「そんなのどうでもいいわよ」
「……」

タイヤの静音が響く。
「あの……殴ったこと」
おずおずと切り出す。
「理由があったんでしょ。聞かないけど」
「どうして僕を捨てなかったんですか」
リーザは一呼吸おき、「母親だから。あそこで捨てるような人間は親じゃない」と答えた。
セレンは重い口調で「そうですね」と呟いた。
そう、あんなのは親じゃない。

風花院に着く。メルにどんな顔をして会えばいいのか。
ドアを開けたらメルが立っていて、セレンに気付くや抱きついてきた。
「お兄ちゃん、大丈夫だった!?」
「メル……」
「ごめんね、ずっと会いに行きたかったし手紙も出したかったし今日だって先生と一緒に行きたかった!」
メルは大分やつれていた。わんわん泣き出す。見ればミーファや孤児たちもいる。皆暖かくお帰りと言ってくれた。

メルはひとしきり泣いた後、セレンの頬を思い切り平手で打った。バーンと良い音がする。当然の報いだわなと思う。
「メルじゃダメだったの!?メルを捨ててでもあの女に復習したかったの!?」
どうやら彼女は計画も真意にも気付いていないようだ。セレンは「ごめん」と言った。
メルはしばらくセレンを睨んだ後、「もう死のうとしないで」と言って胸に顔を埋めた。

薬学

3/11記

娘が大学に残って新薬の研究をする場合、医学部なのか薬学部なのか調べていただけないでしょうか。
私が腰痛などの筋肉の病で人生を崩したことを知って、その病を治す薬を作りたいと言っていました。
猫の薬も作りたがっていました。優しい子です。
それと、私自身彼女が何を学んでいくのか知りたいので、製薬に関する本や資料、
また薬というのはどういうシステムで効くのかといった薬学知識の本や資料を
niasさんの判断で見繕っていただけないでしょうか。

(中略)

あぁ早く出てしあ達と暮らしたいなぁ……。
娘も息子も私によくなついていたからな、
今すごい辛いんだろうなとかばかり考えてしまって。
そのうえ体も痛いしで生き地獄すぎです。
ユルトが獣医になって紫亞が製薬すれば、あの二人を作った甲斐があるというものです。
たとえ私のように一つの世界の第一人者にならなかったとしてもね。
あ、子供に関する件はBBSにもまた。